



――カメラ歴は?
こだわってカメラを持つようになったのは20歳を超えてからですが、中学生のころからインスタントカメラをつねに持ち歩いて登下校のさいに気になったものを撮っていました。もともと記録魔の家系なんですよ。父親もカメラや写真が趣味というわけではないんですが、家にお客さんが来るたびに記念撮影してアルバムに張ってキャプションをつけたりするのが好きな人だったので、私もその血を引いているのかもしれません。作品ではなく、記録派ですね。初めて買ったデジカメはフジのDS-7だったと思います。35万画素で写真としてはフィルムより劣るなという感じでしたけれど、オモチャっぽくて気軽に撮るにはちょうどよいカメラでした。
私にとってカメラはバイクと一緒で、自分の能力以上のことを実現してくれる機械なんですよ。バイクがなければ私はたぶん旅になんか出ないし、カメラがなければ記録を取ることもしない。メカのことは詳しくないんですが、自分ができないことをしてくれる機械を操作するのは楽しいです。
――いまのカメラはどうして選ばれたのでしょうか?
オリンパスの「ミュー」は、これで3台目なんです。実は私、カメラをよく壊すんですよ……ハワイでバイクのツーリング中に豪雨がきてだめになったり、サーフィンしていて海の中に落っことしたり、濡れた手で触ったりとか。多少荒っぽく扱われても大丈夫なくらいタフで、ツーリングでも邪魔にならないコンパクトなものを探していて、1030SWが出たとたんに飛びつくように買いました。決め手は10メートル防水ですね。海の中につけて撮っても大丈夫なところが気に入っています。
オリンパスE-520も相当悩んで、前のモデルのときにも買いそうになったんですが、「待て待て」と慎重になって1年たって(笑)、そのとき使っていた一眼レフが壊れたので2008年の夏にやっと購入しました。これも決め手はタフさで、標準と望遠のWズームがついてお得な値段だったところ。来週から行くフィジーでのボートトリップ(ボートで沖まで運んでもらい、そこでサーフィンする旅)のときに、船上から仲間のサーフィン姿を撮ってみたいです。
――どういう写真を撮るのが好きですか。
ブログをやっているので、そこにアップする写真を撮っています。なんでも撮るんですが、友人のカメラマンからは「食い意地がはっているせいか、料理の写真がうまい」と微妙な褒められ方をしています(笑)。においが漂うような写真だって。たしかにお預け状態で魂込めて撮っています(笑)。乗っているバイク(1200ccのハーレーダビッドソン)も撮ります。私は正面じゃなくて、お尻からぐっとマフラーが持ち上がっているアングルが好きなんですよ、セクシーじゃないですか。みんな自分が乗っているバイクの好きな角度ってあると思いますよ。あとやっぱりツーリング中の風景も撮ります。ただいちいちバイクを止めて撮っているとツーリングの楽しさがなくなってしまうから、走っているときに「ここ、いいな」と頭の中にノートしておいて、後から戻って撮りに行ったりします。面倒くさい旅になるので友人と一緒じゃできませんね。(笑)
それに自分撮りにも挑戦します。カメラをセット、バイクを背景にしてヘルメットを脱いだ髪を風がフゥーと流していくところとか……ひとりでやっているとめっちゃ恥ずかしいんです。しかも絶対に1回じゃ撮れないんで、4、5回やったりとかして。(笑)
でもそうやって撮った写真を夜に、酒飲みながら一枚ずつ整理していくのは私にとって至福の時間ですね。見直していくうちに「ああ、今日はこんなところ走ったな」とかまた改めて思い直したり、写真を撮るようになって旅が2倍楽しめるようになりました。
※このインタビューは「アサヒカメラ 2009年2月号」に掲載されたものです