西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修さんは、鈴木誠也のWBC出場辞退を嘆きながらも、希望を見出す。
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連日、侍ジャパンの報道が盛り上がっている。ダルビッシュ有(パドレス)を中心にして、いい雰囲気で調整を進めてきたし、大谷翔平らもメジャーのキャンプからチームに合流した。その一方で、WBC開幕まで10日を切った中、カブスの鈴木誠也の出場辞退のニュースはちょっとショックだった。
脇腹を痛めたという。今オフは徹底したトレーニングで10キロ弱増量したという。いきなり体を大きくした影響もあったかどうかはわからない。彼の実績、右の外野手の希少性を考えた場合、一番故障してほしくない選手が故障してしまったというのが、最初に感じたことだ。
鈴木は前回2017年のWBCに出場し、大会MVPに輝いた19年のプレミア12と、21年の東京五輪では全試合で4番を務めた。鈴木以外の外野手は近藤健介、周東佑京、ヌートバー、吉田正尚の全員が左打ち。打順を考えても、右の大砲である鈴木は、左打ちの4番・村上宗隆の前後を打つ役割として大きな存在だった。守備面を考えても、ヌートバーが右翼に回るだろうが、彼のバックアップはいない。さらに鈴木には、ヌートバーと野手陣、そして若手とベテランをつなぐ精神的な部分での潤滑油としての役割が期待されていた。
ただ、嘆いてばかりはいられない。誠也の「穴」をどういった形で埋めていくか。代役で選出された牧原大成には、誠也とは違った役割で貢献してもらいたい。それは、内外野守れるユーティリティーという部分や、試合途中からの守備固めであろう。そして岡本和真、山川穂高といった右の大砲が、しっかりと力を発揮することだ。逆に絶対的な存在が抜け、チームの結束をより強くする方向につなげてもらいたい。
戦い方としても、誠也がいない分、より人数をかけて試合を戦うことになるだろう。