ほえろ! 独立愚連隊~両A面シングル「SAMURAI GIRLS / ワイドルセブン」リリース。季節が君だけを変える! リリイベ、フェス、そして単独ライヴハウスツアーでレベルアップした! レベルアップした!! レベルアップした!!! 続・全国縦断 追っかけのブルースの巻
9月16日、赤坂BLITZ「アップアップガールズ(仮)1stライブハウスツアーアプガ第二章(仮)開戦~赤坂決戦~」での一大クライマックスがまるで昨日のことのようでもあり、もう大昔の出来事にも感じられる。この重厚な余韻はなんなのだろう。外は日一日と温度が下がっている。あんなにギラギラ容赦なかった陽射しもいつのまにか優しさを帯びてきた。
陽射しよ、日和ったのか。なにがお前をそんなにヤワにしたのだ。アプガを見るがいい。あの熱気、覇気、情熱、熱血、度胸一発の超人ガッツに触れても何も感じないというのか陽射しよ!
15日ごろから、東京は強い風や雨にさらされていた。16日の朝にはそれがピークに達し、止まる電車や飛行機も続出、野外イベントの中止や順延が次々と発表された。BLITZは室内会場だから公演中、雨風にさらされることはない。しかしファンは公共の交通手段を使ってそこに来る。それが順調に動かなければ手も足も出ない。「果たして、やるのか?」と、ぼくはテレビの台風速報を見ながら動向を案じた。あれは10時半だったか11時だったか、「15分遅れで開演」という知らせがツイッターやブログに表示された(来られなかった方には後日、払い戻しの措置がとられた)。
台風よ去れ、と、ファンの誰もが祈ったはずだ。「念」というものが自然現象を動かすことなど、ふつうに考えたらありえない。が、確かに台風は別の場所にいった。ぼくが赤坂駅にたどりついた頃には雨は止み、風も弱まっていた。それと入れ替わりに吹き荒れたのが、あまりにも熱狂的で魅力的、心をわしづかみにしてやまないアップアップタイフーンである。
2時15分の部についてはこちら(http://www.stereosound.co.jp/column/idollove/article/2013/09/18/24771.html)に書いた。なのでここでは6時の部について触れる。曲目は一緒。練りに練りあげたナンバーを、おびただしい数のイベントやライヴ出演で磨きこんできた一体感を伴って(この夏、アプガは文字通り“同じ釜のメシを食って”、チームワークを研ぎすませたのだ)、次々と繰り広げていく。まさに至高の瞬間。アプガのファンでよかった、生きていてよかった、生まれてよかった、おとうさんおかあさんありがとう、と感謝ラップをしたくなるほど心を打つパフォーマンスが続いた。ぼくは赤坂BLITZで松浦亜弥の初ライヴや、まだこんなに売れる前のノラ・ジョーンズ、最近では9nineやクラフトワークや天童よしみを見ている。そこで体験するアプガの単独ライヴ。なんてエキサイティングなんだろう。
1曲目が始まる前、スクリーンにはメンバー紹介を兼ねた映像が流れる。これ、昼と夜では微妙に内容が違っていた。メモをとっていないので全部は覚えていないが、森ティのキャッチフレーズ以外は替わっていたのではないか。仙石みなみは「足軽に降格」、佐保明梨は「破壊道五段」(昼は四段)だったはず。DVDが出たら、まっさきに確認したいところである。最後、客電がつく前にかかる映像も昼間のものとは違っていた。いろんな場所で撮影されたアプガの動画が、カーペンターズ(に違いない)のバラードをバックに流れる。「あれ、こういう演出、ももいろクローバーZの極楽門で体験したことがあるぞ」と思った。確かあの日はプログラム後半から雨が降ってきたのだった。忘れもしない2011年夏、実はもうその頃、すでにアプガは結成されていてカヴァー曲を集めたレギュラー公演を始めているのだが、当時の自分はそれをまったく知らなかった。その時期からアプガを追っているファンは先見の明のかたまりだと思う。と同時に、「ももクロからアプガに来た」ファンも相当数いるんじゃないかと、ぼくは感じている。
この公演の17日前にあたる8月末日、アプガは横浜BLITZで「アップアップガールズ(仮)1stライブハウスツアーアプガ第二章(仮)開戦 ~横浜リベンジ決戦~」を大成功のうちに終えている。アプガにとってここがどれだけ思い入れの場所であるかが、「アプガ 横ブリ」と検索すれば山のように説明が出ているはずだから省く。
ぼくが家を出たのは開演4時間前ぐらいだ。なんだか待ちきれず、ひとまず電車に乗り込んだのだ。高島町の駅に到着し、やたら長いエスカレーターに乗って地上に向かう途中、(仮)Tシャツを着たファンがいろんな角度から視界に飛び込んでくる。皆、すごく凛々しい表情をしている。こちらも高揚した。詳しくは(http://www.stereosound.co.jp/column/idollove/article/2013/09/02/24175.html)をご覧いただければ幸いだ。チケットは完売、アプガの気迫とファンの気迫がぶつかりあう圧巻のステージだった。
チケット販売にはアプガ自身も尽力した。複数のアイドル・ユニットが出るライヴや、イベントで、全身全霊でチケットを売った。ぼくは7月下旬のTOKYO IDOL FESTIVAL、野外テント下のグッズ売り場コーナーを思い出す。アプガは陽射し直撃をものともせず、チケットを買ってくれないか、単独ライヴを見にきてくれないかと声を張りあげた。その姿があまりにも燃え上がっていたので、チケットが焼け焦げるのではないかと心配になってしまったほどだ。
アプガはおくゆかしい。生意気とかビッグ・マウスという言葉とは正反対の存在だ。しかしメンバーはチケットを手売りしながら、「絶対に最高のライヴを届けてやる。自分たちにしかできないハイレベルの歌とダンスとチームワークで、徹底的に楽しませてやる。後悔はさせない」と、お金を出してくれたファンに向かって心の中でシャウトしていた、とぼくは想像している。
そして、ついに迎えた“リベンジ日”。自分は古参ファンでもなんでもないが、どのへんの人々が「おまいつ」(※「常連」を意味するヲタ用語)かということは、なんとなくわかる。しかしこの日は「おまいつ」を探すことすら困難なほど、会場は観客だらけだった。女性の姿も目立つ。場内には、かなり広めの「女性限定エリア」が設けられていたが、そこ以外でも数多くの女性ファンの姿を確認できた。同性ファンがどんどん増えている事実は、メンバーにとっても大きな励みであるに決まっている。シンガー、ダンサー、アイドル、そしてエンターテイナーとしてさらに力強さ、美しさを増したアプガの7人は、2時間半を何百分の一の瞬間に感じさせた。
9月4日には両A面シングル「SAMURAI GIRLS / ワイドルセブン」が発売され、それを記念して3日から6日にかけてリリース・イベントが行なわれた。3日は巨大なガンダム像で知られるダイバーシティ屋外フェスティバル広場でのステージだ。前の前のシングル「銀河上々物語/Burn the fire!!/ナチュラルボーン・アイドル」のリリイベで、巨大な(仮)の旗を掲げて観客を唖然とさせた、あの場所に、再びアプガが登場したのである。そのときに比べると日の入りはすっかり早まり、時計が7時を示す頃には、まわりはすっかり夜だ。演目は「SAMURAI GIRLS」、「ワイドルセブン」、「メチャキュンサマー ( ´ ▽ ` )」、ガンダムのアトラクションを挟んで「銀河上々物語」。新井愛瞳は髪の毛を思いっきり短くした。[次回9/30(月)更新予定]