近刊書の中から編集部が「旅編」と「冒険編」に分けて、おすすめの本を選んでみた。
 「冒険編」では、探検家や登山家たちの手記を中心に選んでみた。
 今年5月、80歳で3度目のエベレスト登頂に成功した三浦雄一郎と豪太親子の『冒険の遺伝子は天頂(いただき)へ』(祥伝社)は、過去5年の準備期間の記録が中心だ。高齢になっても衰えないチャレンジ精神を読み取ってほしい。日本人で初めて8千メートル峰全14座の登頂を成し遂げた登山家・竹内洋岳の『標高8000メートルを生き抜く 登山の哲学』(NHK出版新書)は高所登山の魅力にあふれている。何度も死の危険に見舞われながらも、経験と知識と想像力によって切り抜ける著者の姿に胸を打たれる。
 出版は2011年になるが、写真家・石川直樹の『For Everest ちょっと世界のてっぺんまで』(リトルモア)は、10年ぶり2度目のエベレスト登頂と、その直前の半年間の手記だ。現地での食生活や山の現実が描かれ、著者とともに山に挑んでいる気になる。探検家・高橋大輔の『命を救った道具たち』(アスペクト)は、ロシアのアムール川で、サハラ砂漠で、絶体絶命の事態を打開してくれた道具を通じて探検の奥深さを語る。
 海外の作品では、ペルーの都市遺跡の歴史に迫る『マチュピチュ探検記 天空都市の謎を解く』(マーク・アダムス、青土社)が面白い。映画「インディ・ジョーンズ」シリーズのモデルでもある第一発見者の足跡をたどり、数々の疑問を解いていく。
 今年4月に病気で死去した加藤則芳の『ロングトレイルを歩く 自然がぼくの学校だった』(PHP研究所)は、何日もかけて山野を歩くことの魅力を説く。自然の中を歩く旅だからこそ、見えてくるものが、ここにはある。