17年1月から、岩手県産農畜産物をPRするJA全農いわての「宣伝本部長」に任命され、CMやイベントに出演。3期目を迎え、委嘱状を受け取る=19年4月
17年1月から、岩手県産農畜産物をPRするJA全農いわての「宣伝本部長」に任命され、CMやイベントに出演。3期目を迎え、委嘱状を受け取る=19年4月
この記事の写真をすべて見る

 朝ドラ「あまちゃん」が放送されたのは2013年4~9月。のんは今なお、ロケ地だった岩手県に通い、災害からの復興をめざす県民に笑顔を届ける。「私のほうこそ勇気をもらっている。一緒に歩んでいる仲間に会いに行く感じです」

【写真特集】絵が上手い。久慈市にアートを寄贈したのんさんの作品はこちら(他9枚)

*  *  *

「あまちゃん」以後も、ドラマの舞台となった岩手県には何度も足を運ぶ。久慈市にアート作品を寄贈したり、遠野市で映画を撮ったり。劇中で「北三陸鉄道」のモデルになった三陸鉄道のリアス線開業式典(宮古市)にも駆けつけた。

「(東日本大震災の)被災地のみなさんに元気を届けたいという気持ちもあるけれど、一緒に歩んでいる仲間に会いに行く感じです」

 お気に入りの店をSNSで紹介すると、全国からファンが来店する。久慈市の喫茶店「モカ」を営む樋澤正明さん(75)は震災や水害を乗り越え、今年開店55周年を迎えるといい、「彼女の応援を心から励みにがんばってきた」。住民は「復興への勇気をくれた恩人」と口をそろえるが、「『おかえり』って温かく迎えてもらい、私のほうこそ勇気をもらっている」。

「のん」に改名して再出発したとき、岩手県の人たちは真っ先にエールを送った。達増拓也知事が「プロジェクトN」と称して旗を振り、JA全農いわての「宣伝本部長」に任命され、岩手銀行のイメージキャラクターに起用された。

 昨年、自ら脚本・監督を務めた映画「Ribbon」を全国公開する際、久慈市は街中をリボンで飾り付けた。「映画館のない久慈市のみなさんが街ぐるみで応援してくれて、すごくうれしかった。ありがたみが心にしみました。このつながりを大切にしたい」

(取材/文・佐藤修史)

週刊朝日  2023年3月17日号