毎日のように繰り返されるいじめ報道。学校でいじめが起きるメカニズムから教育現場の隠蔽体質、報道の問題点などを指摘しながら、いじめ撲滅への処方箋を提示する。
 過激なタイトルだが、著者の主張は明瞭かつ論理的だ。いじめの唯一の解決策は市民社会のルールを学校現場に導入することだと指摘する。学校は教育の名の下に聖域化されており、法ではなく「空気」が教師や生徒を支配しているため、常識では理解できない出来事が次々と起きるからだ。法の適用と共に学級制度の解体など具体的な提言も豊富で、いじめの原因を心の問題に帰結させがちな既存の対応策とは一線を画す。
 従来の枠組みでは、いじめ問題が抜本的な解決策を見いだせないのは、いじめによる自殺が80年代から断続的に続くことから明らかだ。本書の内容は従来の報道や識者の意見に比べると突拍子もない意見に映るかもしれないが、それは我々が学校を無意識のうちに聖域化してしまっている証左であろう。学校とは何かを改めて突きつけられる一冊である。

週刊朝日 2013年1月25日号