私の息子は中2から中3にかけていじめに遭い、不登校になった。その頃の顛末記をこのたび出版した。タイトルは『たたかえ! てんぱりママ』

 自分の子どもがいじめられた経緯を本に書くのはかなりつらかった。何度も書きかけては止め、出版するまでに3年もかかってしまったのもそのためである。この本は、いじめ顛末記だけれど、バス代を巡る闘いの記録でもある。

 クラスメイトにいじめられた息子は不登校となり、遠くの中学に移ることとなった。そこはバス代が月額4200円かかる。なので私はいじめっ子の親にバス代の負担をお願いした。すると瞬時に断られた。「しつこい! もうあやまったんだから、この件は終わったはずでしょう?」という言葉と共に。

 私はそれがどうしても納得がいかなくて、いつまでもいつまでもバス代にこだわり続けた。学校は「お金が絡むことなので仲立ちできない」と逃げた。法の専門家にも「いじめと不登校の因果関係がはっきりしないと法的請求ができない」と言われた。でも、今でもあのバス代は、私が払うべきではないと思っている。

 いじめっ子の母親は「このくらいのことで不登校になるなんて、おたくのお子さんは家庭環境に問題があるんじゃないの?」と言い放った。人をいじめてしまうような子どもに育てたあちらの家庭には、まるで何の問題もないかのような態度だった。

 今の世の中、なぜかいじめられる側が原因を追及される。息子の時も「母子家庭だから」「お母さんが作家だから」など色々な理由を周囲の人は考え出してくれた。私は不登校となった息子のケアに追われ、周囲からはまるで原因が私であるかのように言われ、あの頃はすべてを否定されているようで、本当につらかった。

 いじめる側がなぜいじめてしまうのか、その原因をこそ突き止めるべきだと思うのに、息子の時、いじめた側の数人の男子生徒達は、先生から少し注意されただけで、私が学校に要求するまで保護者にさえ連絡がいっていなかった。

 本ではモンスターティーチャーの特徴や、いじめ対策なども盛り込んだ。読んだかたのお役に少しでも立つことを、願っている。