息子が私立中学を中退したときの顛末が、エッセイとして出版されることになった。

 正確にいえば、私立中学で担任にいじめまくられて中退した『私立中学編』と、中退後に転校した公立中で今度は友達からいじめられて不登 校になった『公立中学編』の2章に分かれている。息子は、公立私立両方でつらい経験を食らってしまったという希少経験を持つ生徒なのだ。

 しかし、そのおかげで、この本は、非常に濃いものになりそうだ。読めば、現代中学校が抱えるさまざまな問題が次々と現れてくる。いじ め、不登校、モンスターティーチャー、教育ママ、のらりくらりの管理職、内申書......それだけではない。シーンによっては時にはスクールカ ウンセラーや児童心療内科医や弁護士までもが絡んでくる。我が息子ながら実にバラエティーに富んだ経験の連続となってしまった。

 中学中退本を書く気持ちになったのは、現在、息子が大変楽しく高校生活を送っていて、やっと私たちの気持ちが落ち着いたからだ。

 たとえば私立中のすることには教育委員会は口を出すことができないなど、普通の学校生活を送っていれば知らずに済んだことを、私はたく さん知ってしまった。知ってしまったからには世間とシェアしたくなるのが作家ダマシイというものなのだろう。あの嵐のような日々は、私と 息子だけで抱えているのは、あまりにももったいない。だから本にしようと自ら出版社に売り込んだ。

 本は、スラスラと書き進められていく。書けば書くほど気持ちがどんどんラクになっていくのでびっくりしている。つらい記憶を呼び覚ます のはハードな作業かと思ったら、その逆だった。
 つらかったあの日を文章にして多くの人に知らせることで、私だけの重荷ではなくなる気がして、一気に肩の荷が抜けていく。

 この本を読んで、誰かが学校でトラブルが起きた時に、参考にしてもらえたら、こんなうれしいことはない。学校トラブルの対策が自然とで きるような構成の本になる予定だ。

 本ができるのは来年の春。みなさまに読んでいただける日まで、まだまだ先だと思うのだけれど、どうぞお楽しみに!