全米制覇も視野に入れるルーカス・グラハム、全曲シングル級のデビューALはグラミー当確の注目作(Album Review)
全米制覇も視野に入れるルーカス・グラハム、全曲シングル級のデビューALはグラミー当確の注目作(Album Review)

 リアーナの「ワーク」が全米ソング・チャートで6週目のNo,1を死守する中、その首位の座を狙うべく、2位まで浮上しているのが、ルーカス・グラハムの「セブン・イヤーズ」。アメリカ以外のヨーロッパ諸国では、ほぼNo,1制覇している状況で、公式ビデオは再生回数2億回を突破する大ヒットに至っている。その「セブン・イヤーズ」含む、デビュー・アルバム『ルーカス・グラハム』が4月1日にリリースされ、日本では4月20日に発売される。

 本国、デンマークでは先立って首位を獲得した、ヒップホップ調の「ママ・セッド」(1stシングル)や、ブリティッシュ・ポップを意識した「ストリップ・ノー・モア」(2ndシングル)も収録されている本作。聴き心地の良いポップ・ソングを軸に、ファンクやソウル、ロックからフォーク調の楽曲も並び、彼ら独自のセンスが光る。流行を取り入れつつ、ヴィンテージ感のあるノスタルジックなサウンドが、幅広い層に支持されるのも納得だ。

 ベートーヴェンの「月光」を下敷きにした「ベター・ザン・ユアセルフ」のようなロマンティック・バラードや、「セブン・イヤーズ」に通ずる泣かせのメロウ「ワット・ハプンド・トゥー・パーフェクト」や「ユア・ノット・ゼアー」のような、歌詞の世界観が胸に染みるナンバーは、本作の聴きどころ。

 また、70年代ファンク風の「ドランク・イン・ザ・モーニング」や、ゴスペルを意識した「フュネラル」など、ブラック・ミュージックに影響を受けたことがひしひしと伝わるアップ・ナンバーも目白押しで、マルーン5やエド・シーランにハマったリスナーなら、間違いなくしっくりくる内容だと、太鼓判を押せるアルバムだ。

 いよいよ全米ソング・チャートでも首位獲得が目前となった、ルーカス・グラハムの「セブン・イヤーズ」。この曲の大ヒットをキッカケに、本作『ルーカス・グラハム』から、次なるヒットも十分期待できるだろう。全曲シングル・カットが出来るクオリティに仕上がっているデビュー・アルバムは、2016年のポップ・シーンを語る上では欠かせない。来年のグラミー賞でも、ノミネート作品として注目されるのではないかと予想する。趣味嗜好に偏らず、誰もが認める名盤とはこういうアルバムのことをいうのだろう。

Text: 本家 一成

◎商品情報
『ルーカス・グラハム』
2016/04/01 RELEASE(国内盤は4月20日リリース)
WPCR-17222 価格:1,980円(tax out.)
iTunes:http://apple.co/1RtuxSA