通算セールス800万枚目前の、アデルの3rdアルバム『25』が、7週目の首位獲得を果たした、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
週間セールス20万枚を獲得し、初登場から7週目の首位をマークした、アデルの『25』。年内にダイヤモンド(1000万枚)アルバムに認定されることは確約されたも同然で、2月に開催される【第58回グラミー賞】のパフォーマンス後は、再び数字を伸ばしてくるだろう。しかし、そんな無敵のアルバム『25』も、いよいよ数字を落としてきたところで、デッドヒートが繰り広げられていたジャスティン・ビーバーに、巻き返しの首位略奪を果たすチャンスがやってきた。
12月5日付アルバム・チャートで、初登場首位をマークしたものの、翌週からアデルの『25』にNo.1の座を奪われた、ジャスティン・ビーバーの『パーパス』。しかし、その後もセールスを落とすことはなく、TOP3内に居座り続け、今週も2位に停滞している。週間セールスは124,000枚、アデルの20万枚まで、そう遠くはない数字といえる。よって、アデルの『25』がさらにセールスを落とし、ジャスティンがこのまま現状維持を保てば、再び首位に返り咲く可能性もあるだろう。
昨年から、アルバムの集計方法が変更され、1曲のダウンロード10回分でアルバム1枚のポイント、ストリーミング回数(動画視聴)1500回がアルバム1枚のセールスに換算されることになった。ジャステインの勝因は、まさにその集計編成によって勝ち取ったもので、今週の実売(CDセールス、ダウンロード数)も、累計124,000枚のうち、わずか5万枚強ということで、7万枚以上は、シングル曲のポイントによる売り上げとなる。
今週のシングル・チャートでは、アデルの「ハロー」を破り、ジャスティン・ビーバーの「ソーリー」がNo.1を獲得した。また、3位には「ラブ・ユアセルフ」がランクインし、9月に首位をマークした、「ホワット・ドゥ・ユー・ミーン?」も、未だ8位に停滞する大ヒットに至っている。時代に精通したチャート集計にするべきだという声もあがる中、こういったシングル曲のポイントが、アルバム・チャートに反映するのはどうか、という音楽ファンも少なくないだろう。
今週、5位に初登場したのは、昨年「ファイト・ソング」が大ヒットした、レイチェル・プラッテンのメジャー・デビュー作『ワイルドファイア』は初登場した。2003年、2011年に、インディーズでのアルバム2枚をリリースするも、ランクインすら果たせなかったレイチェル。しかし、昨年最高位6位をマークした、「ファイト・ソング」のヒットにより、その実力に注目が集まり、本作へのリリース、そしてヒットに繋がった。アルバムからは、「スタンド・バイ・ユー」が2ndシングルとしてカットされ、今週のシングル・チャートで、38位までランクアップを果たしている。
次週は1月10日に癌のため死去した、デヴィット・ボウイの『★(ブラックスター)』が、上位にランクインするだろう。集計期間の関係もあるが、場合によっては、アデルやジャスティン・ビーバーをおさえ、No.1デビューを果たす可能性は極めて高い。デヴィッド・ボウイは、3年前の前作『ザ・ネクスト・デイ』で2位デビューを果たしたが、首位獲得には至らなかった。アメリカでは、これまでアルバム・チャートで首位を獲得したことはなく、前作の2位が最高位だった。追悼を込めて購入する書き込みなどがアップされていることからも、最後のスタジオ・アルバムで、念願の首位を獲得することを期待したい。
Text: 本家 一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートの掲載は、13日22時以降となります。