
フジロックフェスティバルが7月29日~31日の3日間、新潟県・苗場スキー場で開催された。昨年に続き、今年も新型コロナウィルスの感染拡大の最中に開催された日本最大級のロックフェス。“特別なフジロックから、いつものフジロックへ”を掲げた今年のフジロックを、25年このフェスに通い続ける筆者がレポートする。
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1997年にスタートしたフジロック。複数のステージが同時に進行し、国内外のバンドやアーティストが集結する音楽フェスは当時、日本にはまったく馴染みがなかった画期的なスタイルだった。富士天神山スキー場で開催された初年度(台風直撃で2日目は中止)は、東京・豊洲ベイサイドスクエアで開催された2年目を経て、3年目からは苗場で開催。ボブ・ディラン、ニール・ヤング、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、オアシスなどのビッグアーティストが出演するなど、日本を代表するロックフェスとして成長を続けてきた。

■アルコールも解禁。今年は“いつものフジロック”に
2020年はコロナ禍により中止。2021年は観客数を例年の5割以下に制限し、マスク着用、声出し禁止、アルコールの販売はナシ、出演者は日本のアーティストだけというイレギュラーな形での開催となった。そして今年は、海外アーティストの参加、アルコールの解禁など、“いつものフジロック”へと舵を切ったというわけだ。
ところが7月に入って再び感染が拡大。SNSでも「今年はあきらめます」「家族がコロナになったので、チケットをお譲りします」という書き込みが多く見られた。フジロックの主な客層は、20代半ば以降の社会人。「仕事のことを考えると、今年も見送ろう」とあきらめた人もかなりいたようだ。実際、客の入りは満員とは言い難く、飲食エリアやトイレもそれほど混んでいなかった。客としては快適で過ごしやすかったが、「この状態が続くと厳しいな」と感じたのも事実だ。