Aさん:ありがとうございます。では、そうさせていただきます。その結果はまたご報告して、必要であれば先生のところから医療センターに紹介状を書いていただくかもしれませんので、その際はよろしくお願いします。
医師:分かりました。お大事に。
【このときの医師の気持ち】
専門外とはわかっていたけれど、長年診療に携わっている私のことを信頼して受診してくれたのだな。積極的に質問したり、自分の気持ちを率直に話してくれたりして、自分の状態をきちんと理解したいという意欲も感じられる。こちらも、患者さんの気持ちに応えられるよう、丁寧に説明しなければいけないな。セカンドオピニオンを受けたいということだから、またうちに戻ってきても相談にのっていこう。
【解説】
二つのエピソードを見ると、ちょっとした患者の言葉遣いや口調の違いで、かなり異なったやり取りになっていることがわかります。
まず、医師の「今日はどうしましたか」の問いかけに対して、Aさんは、なぜ専門外のクリニックに来たのかはっきりと伝え、これまでの診察で自分のことをよくわかってくれている医師だからこそ受診したという気持ちを表しています。
また、Aさんは、血圧と大腸の潜血反応との関係について疑問を投げたり、若かったころの話をしたりと、今の気持ちを率直に伝えています。これにより、医師もパソコンを打つ手を止め、Aさんの話をもっと聞こうという気になっています。医師の説明も「水を2リットル」など具体的になっており、Aさんの言動により、医師の「より丁寧に説明しよう」という気持ちを引き出せていることがうかがえます。
他の病院に検査を受けに行くという流れを思い切って断ち切り、セカンドオピニオンについても伝え、医師も気持ちよく受け入れました。自分の気持ちを率直に示すことにより、Aさんは医師を不快にさせることも、医師との関係を損なうこともなく、別の医師に相談することへの賛同を得られたのです。