借金最大16から貯金3に盛り返した阪神が、再び泥沼状態の危機を迎えている。リーグトップの12勝をマークしているエース・青柳晃洋が先発した16日のヤクルト戦で敗れて7連敗。
守備のミスで主導権を手放した。0-0の2回無死一塁で、宮本丈の犠打を処理した青柳が一塁に悪送球、さらに中村悠平の犠打を処理した一塁・ロドリゲスが三塁に送球したが間に合わず野選に。無死満塁と傷口を広げて2点を先制された。
「拙守は何年も前から指摘されている課題ですが解消されていない。捕手とセンターの近本光司以外の選手は複数のポジションを守っていますが、これが機能していると思えません。例えば、佐藤輝明は三塁と右翼を守りますが、糸原健斗が起用されるポジションによって佐藤の守備位置が変わる。将来の中心選手として育てなければいけないことを考えると、佐藤を三塁に固定するべきです」(スポーツ紙記者)
阪神は2018年から4年連続リーグワーストの失策数を記録している。本拠地・甲子園は内野が土のグラウンドで打球処理が難しいことを考慮しなければいけないが、守備に綻びが目立つチームは頂点に立てない。チーム状態が悪い時こそ守備を大事にしなければいけないが、勝負の分岐点で失策が目立つ。もちろん、選手たちは必死だ。ミスをしたくてしているわけではない。技術不足が最大の要因だが、8月に入り矢野政権下でワーストの10試合連続失策を記録。シーズン72失策は12球団ワーストだ。
1人の選手が複数のポジションを守れることは首脳陣からすれば起用法の幅が広がるが、デメリットもある。他球団のスコアラーはこう指摘する。
「連係プレーの練習量や特守の量が減るので、個々の選手の技術がなかなか上達しない。そのポジションに対するプライドも持ちにくくなる。例えば、佐藤は内野のグラブさばきが良く、肩も強い。三塁でゴールデングラブ賞を獲得できる能力を持っていますが、今年は打撃不振を引きずっているのか、打球のファンブルや悪送球など集中力を欠くプレーが見られる。守備職人と呼ばれるユーテリティープレーヤーは別ですが、打撃がメインの選手は複数のポジションを守ると、守備の意識が薄くなってしまう。守備位置を固定することで打撃にも集中できる。長丁場のペナントレースは、主力選手のポジションを固定しているチームの方が強いですよ」(他球団のスコアラー)