先のAさんは学部の対応にこう疑問を投げかける。
「大学は虚偽申請する学生がいることで成績が不公平になるといっていますが、いったいどのくらいの虚偽申請があったのでしょうか。コロナ感染者らに対する追試がなくなったことで、不公平な成績をつけられた学生のほうが多いのではないかと思います」
ほかにもコロナによる欠席で、問題が起きているケースがある。
「コロナに感染したため、欠席した授業の代替措置をお願いしましたが、冷たくあしらわれました。このままでは留年です」
こう話すのは教養学部2年(理科3類)の杉浦蒼大さん(19)だ。
春学期の必修授業「基礎生命科学実験」の成績が「不可」に。同授業の次の開講は来年度になる。秋からの医学部の授業が始まる予定だったが、この「不可」によって受けることができなくなった。来年の医学部への進学もできず、留年が決まった形だ。
杉浦さんは今年5月にコロナに感染し、その影響で2回の授業に出席できなかった。2回目の欠席をした授業の翌日、症状が落ち着いてきたこともあり、コロナ感染による欠席をメールで教員に申し出た。
すると、1回目の欠席については授業日から1週間以上経っていたため、教員から「経過日数的に対応できません」とされ、2回目の欠席については補講が認められ、出席の扱いとなった。
最終的に全6回の授業のうち、欠席は計2回(うちコロナ以外の欠席が1回)、授業後に毎回出される課題は5回提出した(うち2回は遅れて提出)。結果、成績は「不可」に。
杉浦さんはコロナによる1回目の欠席が成績に響いたのではないかと思い、改めてコロナ感染であったことを説明し、教員や学部に確認を求めた。
学部側からの回答は、
・授業への出席だけではなく、毎回の提出課題の内容が重要視される。
・杉浦さんの提出課題の評価には低い評点しか与えられなかった。
・課題の提出期限を過ぎて提出することなども減点の対象となっており、そういったことが複数回確認されている。
・その結果、仮に1回目が出席で、課題が満点だったとしても、授業全体の成績評価は不可だった。
などとする内容だった。