今回の事件でこれまで、特捜部の任意の調べに否認を続けているという高橋容疑者。弟の治則氏と同じように特捜部とは戦うことになりそうだと話すのは、高橋容疑者を知る電通のOBだ。

「高橋容疑者は、弟さんと同じように特捜部とは徹底抗戦すると思いますよ。逮捕前に話した時も『悪いことは何もしていない』と話していましたから」

 気になるのは今後の捜査の行方だが。

 郷原弁護士は、

「過去の判例でも、みなし公務員の贈収賄というのはあまり聞いたことがない。組織委の理事、みなし公務員にどれだけの職務権限があったのか。そこを特捜部がしっかりと詰められるのかがポイントです」

 との見方を示す。

 さらに、2016年にフランスの捜査当局が、東京五輪・パラリンピックの招致で不正なカネが動いたとみて検察庁に捜査共助を求め、その結果、日本オリンピック委員会(JOC)会長の竹田恒和氏が退任を余儀なくされた件を挙げ、

「その事件でも、高橋容疑者の名前が浮上していた。もっと早く手を打っておけば、こういう事態にはならなかった。特捜部が捜査すべき最大のポイントは、スポンサーの選定などに、政治家や電通の深い関与はなかったのか。特捜部はそこに切り込んでほしい」

 と強調した。

 東京五輪・パラリンピックの運営で、日本の関係者が逮捕されるという不名誉な事件。国民の税金も感動も競技に力を尽くした選手の思いも台無しにした。

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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