放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、X世代に刺さる映画「サバカン SABAKAN」について。
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このコラムでX世代エンタメの話を何度かしてきました。Z世代と聞くとざっくり若い世代とイメージするかもしれませんが、X世代とは、1960年代中盤から1970年代終盤(もしくは80年代序盤まで)の人達。40~50代ってことですね。
5月に公開して大ヒット中の映画「トップガン マーヴェリック」は100億円を超える大ヒットですが、このX世代に刺さりまくったからこその大ヒットでしょう。このX世代に刺さるエンタメが今後、もっと増えてくると僕は書きました。
そして、2022年夏の終わりにX世代の胸に刺さりまくるエンタメの登場です。邦画です。映画「サバカン SABAKAN」です。
なんと主演は無名の少年二人。そして、舞台は1986年です。少年ジャンプから人気漫画が続々出たあの時代。まさに「トップガン」が公開されたのもこの年。
1986年の長崎に住む少年二人が主人公。小学5年生の久田は、愛情深い両親と弟と共に暮らしている。決して裕福とは言えないかもしれないが小さな幸せが沢山ある。
そんな久田のクラスには、竹本という生徒がいる。家が貧しいためにクラスメートから笑われている竹本。クラスで友達のいなかった竹本だが、あることをきっかけに久田と友達になっていくのだが・・・という物語。一言で言うと日本版の「スタンド・バイ・ミー」です。
どんどん大きな事件が起きていくわけではない。少年たちのひと夏の物語なのだ。
だが、映画のセリフやシーンにいちいち心を掴まれる。キン肉マンや斉藤由貴など、あの頃熱狂していたもの。そして、誰もが見たことのある、経験したことある教室での風景。
僕の小学校のクラスにもいました。とっても貧乏でトタン屋根の家に住んでいた男子児童が。その家を見て、友達と笑ったこともあります。
{!-- pager_title[物語の終盤は・・・もう、涙が止まらないです] --}