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 肉親の心労は察せられる。一方でCさんらの措置に、なお一抹の凝間も残った。Cさんにいくつかの質間を向けた――。

 問 問題の家や土地はD子さんの所有だ。処分権は本人にある。なぜあなたたちが口を出すのか。

 答 姉の今後の生活をおもんぱかってです。本人は今後のことについて「アパートを借りて移る」というが、このままでは貯金も何も使ってしまう。それを座視はできない。私たちが得をしようなどとは、露ほども思っていない。

 問 信教の自由は尊重すべきだ。信教にある種の自己犠牲が伴うことはありうるのではないか。

 答 一般的には私も信教の自由を尊重するし、姉がどんな宗教に入ろうといっさい口出しする気はない。ただ、宗教は精神を救うべきもののはずだ。なんでなけなしの金や財産まで吸い上げようとするのか。反社会的な、印鑑や壺、多宝塔商法をやっている組織を利する金は、私はとめたい。姉の献金が彼らを肥やし、さらに何十人という若者を惑わせたり、妙な政治的使途に行くとすれば、社会的資任も感じる。

 問 お姉さんはすでに54歳だ。客観的にはいかに非合理ないし荒唐無稽に見えようと、本人が救われた気になることもある。最終的に判断は彼女に任せ、責任も本人が負うほかない面があるのではないか。

 答 第三者だったら、私もそう思うだろう。しかし例えば、足元がおぼつかずに道を歩いているおばあちゃんがフタのあいたマンホールに気がつかずに近づいていれば、それが他人でも声をかけて注意してあげようとするだろう。まして血の通った姉だ。手を差しのべずにいられましょうか。

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 横浜家裁は最近、Cさんや母らが申し立てていた保全処分を認めた。「申し立ての要旨すべての事実がいちおう認められる。本人が、財産管理者の同意立ち会いなしに不動産を処分したり売却代金を受け取ることは禁止するのが相当だ」との判断だった。財産管理者には親族の1人が選任された。

※朝日ジャーナル1986年12月26日から

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