安藤 家族の負担を減らすためにも、介護職の人ができることが増えるのはいいことですよね。昔から親の面倒は子どもがみる、みたいな風潮がありましたけれど、そんな必要は全くないですよね。

高山 親を老人ホームに入居させることにうしろめたさを感じる人がいますけれど、自分の生活を犠牲にしてまで面倒をみることはないと思います。特に認知症は大変ですから。

安藤 自分のことを忘れていく親の姿を見るのは、子どもとしてはつらいですよね。そのストレスは、怒りに変わりますから。認知症のことを理解している施設のスタッフが間に入ると、家族はすごく救われると思うんです。

週刊朝日ムック『早めの住み替えを考える 高齢者ホーム2023』
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■作業を細分化して介護の質を高める

安藤 高山さんにとって、理想の高齢者ホームはどんなイメージですか?

高山 介護の仕事が好きで楽しそうに働いている人がたくさんいるホームですね。

安藤 本当にそうですよね。いやいや介護されても、ストレスですし、それをがまんするのはつらいですよね。楽しく働いてもらうためには、環境が大事だと思います。

高山 介護職は事務仕事や掃除などの作業もあり、本来の介護の仕事に集中できないという現状がありました。最近は集中できるように、作業を分担する流れになってきています。

安藤 作業を細分化して介護の質を上げる取り組みですね。

高山 安藤さんは自分が入居するなら、どんなホームがいいですか?

安藤 自由なところですかね。音楽が好きなので、「Jポップ棟」「レゲエ棟」「メタル棟」みたいにジャンルごとの棟があると楽しいかも(笑)。若いときにはやった音楽を聴くのって脳への刺激になりますしね。私の世代だと安室(奈美恵)ちゃんがホームで流れているかな。

高山 世代で変わりますよね。僕がホームに入ったら、みんなでサザンオールスターズを歌っているかも(笑)。ホームの雰囲気は、合う合わないがありますよね。

安藤 ホームを選ぶときは見学して、現場のスタッフ2、3人と話してみるといいですよね。

高山 入居したあとでも合わなければ変えられるということをみなさんに知ってほしいですね。ぜひ納得のいくホーム選びをしてほしいです。

(文/中寺暁子)

※1 認知症サポーター 認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族をできる範囲で手助けをする。養成講座を受講すると認知症サポーターになれる。

※2 実務者研修 初任者研修の上位資格。介護福祉士国家試験の受験資格となる研修。訪問介護事業所のサービス提供責任者になることができる。

安藤なつ

1981年生まれ。2012年に相方カズレーザーと「メイプル超合金」を結成。ツッコミ担当。15年、日本一の漫才師を決める「M-1グランプリ」決勝進出後、バラエティー番組を中心に活躍中。その一方でボランティアも含めると約20年間介護職にも携わる。厚生労働省の補助事業「GO!GO!KAI-GOプロジェクト」の副団長。共著に『知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門』(KADOKAWA)。

高山善文

ティー・オー・エス株式会社代表取締役。介護支援専門員。東京都福祉サービス第三者評価者。1966年生まれ。大学では社会福祉学を専攻。さまざまな施設で介護を経験し、2014年に独立。外国人介護人材、シニアビジネスをテーマとして仕事を行う。著書に『これ一冊でわかる!介護の現場と業界のしくみ第2版』(ナツメ社)、『図解即戦力 介護ビジネス業界のしくみと仕事がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)など。

※週刊朝日ムック『早めの住み替えを考える 高齢者ホーム2023』より

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