4回目のワクチン接種を受ける岸田首相
4回目のワクチン接種を受ける岸田首相
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 岸田政権の支持率が急落している。旧統一教会問題、安倍晋三元首相の国葬、物価高対策などが支持率低下につながっていると見られるが、コロナ対策もその一つだ。本質的な問題点はどこにあるのか。医療現場から聞こえてくるのは、経済活動を拡大させる施策が見える一方で、「コロナ対策の全体像が見えない」という不安の声だ。

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 9月も半ばを過ぎ、猛威を奮った「第7波」の感染者数は減少傾向にある。「夏休み後の9月は感染が再拡大するのでは」との懸念もあったが、20日時点の全国の新規感染者数は3万1747人。最も感染者が多かった8月19日時点の26万923人から20万人以上減っている。

 中央区区議で、小坂こども元気クリニック・病児保育室の小坂和輝院長は「(感染状況は)だいぶ落ち着いた」と胸をなでおろす。同クリニックには、ピーク時は1日30人前後のコロナ患者が来ていたという。8月のお盆時期も病院を開けて対応に追われていた。しかし、現在は数人程度。小坂院長はこう語る。

「ピーク時は『子どもを診てほしい』という急な電話も多かったのですが、第7波は(これまでより)少し余裕を持って対応ができた印象です。今年1月の感染拡大(第6波)のときはこれまでにない状態で、対応に苦労しましたが、その経験が生きたと思います」

 各社の世論調査で、岸田政権の支持率が低下しつつあるが、その一因として挙がるのが、コロナ政策の不十分さだ。

 社会調査研究センターが行った世論調査によると、岸田政権のコロナ対策について、今年7月の時点では「評価しない」が34%、「評価する」が35%だったのが、8月には「評価しない」が55%、「評価する」が22%に。9月は若干持ち直したが、「評価しない」が49%、「評価する」は25%に留まった。

 こうした状況に対して、岸田文雄首相は8月下旬から、感染者の全数把握の見直し、自宅療養期間の短縮、空港での水際対策の緩和など、新たなコロナ施策を次々に打ち出している。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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