こうした政治とのかかわりについて、勅使河原氏は、

「宗教団体が自分の政治信条を主張することは何ら問題ない。信徒さんたちが、私たちの考えと合う政治信条を持った政治家を応援するのは、当然あっていいこと」

「(岸田首相の発言は)誠に残念なことだ。たとえば、霊感商法が今でも行われているような報道、それを主導していると思える左翼弁護士の方々、その影響が国民をミスリードしている」

 などと反論し、別の「敵」を設定するような対応だった。

 9月末、近畿地方のある旧統一教会の教会であった日曜の礼拝に参加した現役信者はこう話す。

「記者会見の後で国葬の直前。どういう話があるのか注目していました。他の信者も同様だったと思います」

 と前置きし、礼拝で旧統一教会の幹部が語った内容を紹介した。

「批判もあるなかで、国をあげて安倍元首相の国葬をするというのは、家庭連合と強い結びつきがあったからに違いない。真のお父様お母様(旧統一教会の創立者故文鮮明氏と妻で現総裁の韓鶴子氏)が安倍元首相や、そのお父様(安倍晋太郎氏)、おじいさま(岸信介氏)と強く結びついていたからだ」

「安倍氏が総理になれたのは、我々がトップにつけるように祈っていたからだ。そのおかげで、国葬という形で霊界に旅立たれるのです」

「安倍元首相がもう少し長くトップにいれば、日本は家庭連合を国の宗教としたはずだ」

「安倍元首相は、総理をおやめになれば、食口(シック・信者の意味)になられるとも聞いていた」

 などと主張していたという。

 この現役信者は、選挙応援に借り出され、自民党の国会議員を支援したことがある。今年7月の参院選でも、問題になった自民党の井上義行参院議員に投票するように旧統一教会側から求められたという。

「岸田首相はわれわれと関係を持たないなどと言っているが、これまでどれほど自民党を助けてきたのか。同じ志を持つなら、われわれが自民党を応援して何かおかしいことがあるのか。岸田首相は恩知らずだ」

 と声を荒らげた。

追悼の辞を述べた岸田文雄首相(代表撮影)
追悼の辞を述べた岸田文雄首相(代表撮影)
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