結局、そんな途方に暮れるボクに手を差し伸べてくれたのは、親友のたかみな(高橋みなみ)だった。「クロの服、私がコーディネートしてあげるよ」、そんな一言から、一緒にショッピングにいくことになったんだよね。ほんと、ありがたかった。結果的に、そんなたかみなの優しさが、ボクがオシャレに興味を抱くきっかけになった。
後日、たかみなとたかみなの旦那さん、他にも友達夫妻も加わって、5人で原宿や代官山などのお店を巡った。原宿はアイドルのライブなどでよく行っていたけど、代官山なんてほとんど行ったこともないから、最初は、ほんとうに自分に合う服があるのか、少し不安だった。でも、3XLなどの大きめのサイズも、ちゃんと置いてくれているお店も意外に多くて、これには、すごく驚いた。これまでは「どうせ、置いていない」って勝手に決めつけていたからね。思い込みって怖いなって思ったよ。
adidasにSupreme、Saturdays NYC Tokyo、Maison Kitsuneなど、今までボクの人生にまったく縁のなかったお店に入って、とにかく試着しまくった。
これが、楽しくて、楽しくて、仕方なかった。
試着すると、みんな「かわいいー!」とか「似合ってるじゃん!」とか、すっごく褒めてくれたんだよね。気持ちよかったなー。テンションがあがっちゃって、代官山にある階段などで、撮影会みたいなこともしちゃったし。ボクは、褒められるとのびるタイプだから、いろんなポーズをたくさんとっちゃった。ボクってこんな色が似合うんだとか、こんなふうに上下を合わせるとオシャレに見えるんだとか、新たな発見もできて、すごく勉強になったよ。
オシャレするのって楽しいことなんだって、人生で初めて感じた瞬間だった。一気に、オシャレに対してのイメージが変わったね。これまでは、めんどくさい作業の一つ、くらいに捉えていたから。
それからというもの、ボクは、オシャレにすっかりハマってしまった。今では、多い時で、週3回、代官山に足を運んでいる。一時は、毎週のように同じ店に通って「新しい服、リリースされてないですか?」って聞いたりしていたから、さすがに店員さんから「いやいや、来るサイクル早すぎるんでまだ出てないです(笑)」「昨日も来てましたよね?」って指摘されたこともある(笑)。ボクにとっては、服屋さんに通うことが、完全に楽しい時間のひとつになっちゃったみたい。