ジュート(黄麻)を編んでいる様子。「認定NPO法人シャプラニール=市民による海外協力の会」提供
ジュート(黄麻)を編んでいる様子。「認定NPO法人シャプラニール=市民による海外協力の会」提供

 バングラデシュ産ジュート(黄麻)で編んだ籠などの手工芸品や、ネパール産コーヒーなどを日本で販売し、フェアトレードを推進するのがシャプラニール(東京都新宿区)。バッグやミニほうきなどのジュート製品を多く扱うほか、ネパール産の小銭入れ、石鹸やブランケットなども販売している。

 日本には店舗がなく、ミニカタログを使った通販やネット販売となる。フェアトレード担当の小川晶子さんは購入層について「女性が多く、50代、60代がメイン」と話す。広報担当の長瀬桃子さんによると、購入するのは賛同者や、商品を気に入った人もいるという。

 シャプラニールはバングラデシュが独立した翌年の1972年に設立された。現地で農業支援を始め、ネパールにも活動を広げた。市民による貧困のない社会を目指している。74年にはバングラデシュで洪水が襲った農村の復興に向け、働き先に恵まれない女性たちに収益機会を提供するため、身近な素材で手工芸品をつくり、日本で販売する支援活動を始めた。

 ネパールでは持続可能な農業を目指し、コーヒーの生産や、日本での販売を支援する。コーヒー農園での栽培だけでなく、豆を乾かし、選定するなどコーヒー関連の仕事は多い。

 小川さんは「地域の仕事づくりになる」と話す。現地では出稼ぎとそれによる人手不足の悪循環から、好循環につなげたいと期待する。

 南アジアは労働環境の改善が遅れ、課題が山積みという。シャプラニールが扱う商品のつくり手は女性のほか、障害のある人もいる。行政や大きなNPO(特定非営利活動)法人の支援から取り残された人たちも含め、誰も取り残さない支援活動を展開している。

 日々の消費行動は流行や安さを求めがちだが、消費行動の背景にある社会的な課題にも目を向けてみたい。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2023年3月10日号

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