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一般の企業などで2019年4月から順次施行されている「働き方改革」。その医師版が24年4月から実施されることを見据え、現在各医療機関で準備が始まっています。近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師が、医師の働き方改革について解説します。

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 2024年4月から順次施行される医師の働き方改革について準備が進んでいます。時間外労働が年1860時間の制限を超えないように、日常業務や当直、緊急オペなどが見直されている状況です。

 これまでの医療は労働時間を無視した医師の残業でカバーされてきた側面があります。今でこそ改善されてきましたが、私が研修医のころは当直でほぼ一睡もできなかった翌日に、朝から外来、オペ、救急患者の対応まで48時間に近い連続勤務を行っていた日もあり、残業代はほぼつきませんでした。皮膚科といえど大きな病院であれば重症患者さんを診る機会が多く、毎日とは言いませんが激務とならざるを得ない日もあります。当然、救急患者が多い他の診療科ではこの割合が多くなります。

※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 さて、私たちの教室、近畿大学皮膚科でも働き方改革をいち早く実践しています。カンファレンスを含む日常業務は業務終了時間までに終わるようにしており、最近はそれが可能な働き方ができるようになってきました。勤務医であってもホワイトな職場環境が可能になってきたのではないかと思っているところです。

 一方で、医学部を卒業直後の初期研修医は、残業することが制度上難しいため、ほぼ定刻に帰ることになります。積み残した仕事は上級医が残業して片付けることになるのですが、これがまた難しい問題を抱えています。夜中も土日も働くことに慣れている上の世代の医者が若手のカバーをして、残業を繰り返す現象があちこちで起きているのです。

 別の問題としては、時間外で経験できる珍しい症例を若手の医師が診る機会がぐんと減りました。決して無理な働き方を続けることは容認できませんが、時間内の勤務でもこれまでと同じように研修できるようにシステムを同時に構築していかないと確実に医療の質は低下します。

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