(左から)DeNA・嶺井博希、西武・森友哉、オリックス・伏見寅威
(左から)DeNA・嶺井博希、西武・森友哉、オリックス・伏見寅威
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 今オフのFA市場で、チーム編成に大きな影響を及ぼす可能性があるのが捕手陣の動向だ。西武・森友哉、オリックス・伏見寅威、DeNA・嶺井博希がFA権の行使を検討していることが、メディア各紙で報じられている。

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「打てる捕手の代表格と言える森はオリックス、巨人が獲得に興味を示しているようです。捕手はポジションが1つしかないため、他の捕手は今後のキャリアを考えた時に死活問題になる。森がオリックスに移籍した場合、伏見は出場機会が減ることは避けられない。他球団でのプレーが当然視野に入るでしょう。配球術に定評があり、打撃もパンチ力がある。今年はオリックスの26年ぶりの日本一に大きく貢献しました。伏見は人的補償がないCランクのため複数球団が興味を示している。オリックスに残留するかは、森の決断が大きく左右することになると思います」(スポーツ紙デスク)

 森が巨人に加入した場合は、大城卓三、小林誠司が出場機会を減らすことになるだろう。人的補償で小林、岸田行倫がプロテクト枠から外れる可能性があり、捕手同士で実質的な「交換トレード」になるかもしれない。

 前年の最下位から2位に躍進したDeNAも正捕手がFA流出の危機を迎えている。今季チームトップの74試合でスタメンマスクをかぶった嶺井博希が、FA権行使の決断を下したことが報じられている。ソフトバンクが高く評価しており、獲得に名乗りを挙げる可能性が高い。

 DeNAを取材するスポーツ紙記者は、嶺井についてこう語る。

「打者の苦手なコースを徹底して突く配球術に加え、意外性のある組み立てで投手の良さを引き出す。勝負強い打撃も魅力で今年は下位打線の核になっていた。嶺井が他球団に移籍すれば大きな痛手です。伊藤光、戸柱恭孝が控えているが、長丁場のペナントレースを考えた時にトレードで捕手補強を模索する必要が出てくる」

 捕手は司令塔であり、扇の要と形容される。替えの利かないレギュラー捕手の移籍で、チームが暗黒期に入るケースもあった。NPB最多の通算3021試合出場した谷繁元信は横浜(現DeNA)で1998年に38年ぶりの日本一に貢献したが、2001年オフにFAで中日へ。この移籍に伴い、当時中日の正捕手だった中村武志が出場機会を求めてトレード志願し、横浜に金銭トレードで移籍した。

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