そして僕たち放送作家には「VTRチェック」という作業がある。収録したものを一度見て、意見を言い合うのだ。そこで編集方針が結構変わることもあり大事なのだ。コロナ禍前は会議室でこのVチェックをしていたが、今はリモートで行う。

 先日、恋愛リアリティーショーの番組のVチェックをしているときに、妻が、僕に用があり部屋を開けた。僕が「今、Vチェックの会議中」と言ったのだが、画面には男女がキスしているシーンが映し出されている。妻が「なんだよ。そういう映画を勝手に見てるのかと思ったよ」と言った。そう見えても仕方ない。だが、この男女のキスシーンを真剣に見て意見を言わなければならないのが僕らの仕事なのだ。

 妻は自分が仕事に行くときに僕に「今日、何時出発?」と聞くのだが、ほとんど家でリモート会議だと、出発することがなかったりする。妻からしてみたら「ずっと家なんだ」と思っている気がして、ある時、リモートの会議が楽だと思っているのかもしれないと思い、リモートの会議の面倒臭さ、大事さを説明した。それで理解してくれたかどうかはわからないが、リモートの会議もかなりしんどい。これを理解してくれると本当にありがたいのだが。

 夫婦って、20年いても、いろんなことを説明しあって、話し合って、答えを見つけていかなければいけないのだな~と思う。そこから逃げるのは簡単。でも、話し合っていこう。

妻の大島美幸さんと鈴木おさむさん=オフィシャルブログから
妻の大島美幸さんと鈴木おさむさん=オフィシャルブログから

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)、長編小説『僕の種がない』(幻冬舎)が好評発売中。漫画原作も多数で、ラブホラー漫画「お化けと風鈴」は、毎週金曜更新で自身のインスタグラムで公開、またLINE漫画でも連載中。「インフル怨サー。 ~顔を焼かれた私が復讐を誓った日~」は各種主要電子書店で販売中。コミック「ティラノ部長」(マガジンマウス)が発売中。

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