パトリック・ハーランさん
パトリック・ハーランさん
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 貧乏な家庭で育ったパトリック・ハーラン(パックン)は、1食あたり100円で、「お金がないから」という理由で友だちの誘いを断るなど、「それなりに辛い思い」をしてきたと言います。そんな「生活保護」の状態で、限られたお金を大切に使うために身につけたパックンの考え方とは? 最新刊『パックン式 お金の育て方』から一部を抜粋・再編して公開します。

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■貧しさにも種類がある?

 僕の貧乏生活を知って、「大変だったね」と思う人もいれば、そうではない人もいるでしょう。「ハーバードに行けたんだから、恵まれているじゃないか」と言われるならば、そのとおりです。

 僕の母は1食あたり89セント(100円くらい)という予算を守っていましたが、毎日食事は与えられていました。そして、電気、ガス、水道が止まったこともなく、屋根のある家に住めていました。

 世界には1日2ドル以下で暮らしている人が何億人もいることを考えると、僕は「超、超恵まれていた」と言ってもいいかもしれない。

 貧困には「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2種類があるということを知っていますか?

 絶対的貧困は、最低限の生活基準が満たされていない状態を示します。一般的には、最低限の食料や食料以外のものが購入できるだけのレベルに達していない人々を絶対的貧困者といいます。

 一方、相対的貧困とは、その国の文化的・経済的水準を下回る生活をしている状態を指します。たとえ飢えていなくとも、「その地域の平均的な生活や活動が難しい、周りと比べて貧しい状態」は相対的貧困なのです。

 僕のように、先進国で暮らす人は絶対的貧困になることはあまりありません。でも、相対的貧困に陥る可能性は常にあります。

 そして、「相対的貧困は、絶対的貧困とは違うので大丈夫」ということではまったくありません。

 ここでは僕の実体験を踏まえながら、「相対的貧困」がいかにつらいのかを知ってもらいましょう。

 これは、みなさんも他人事ではない話ですよ……。

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貧乏で本当につらいのは…?