私は4年前、週刊朝日の原稿で、杉田氏についてこう記している。
「最近、杉田氏の発言をネットで見かけることが増えた。『慰安婦も南京(事件)もねつ造』などと堂々と言えるほど今は無名な政治家」(2018年2月)
まぁ、自分の文章ながらかなり失礼な書きっぷりだが、まさかこの4年後に政務官になるなんて、誰が予想していただろう。とはいえ4年前の杉田氏は、当時の公式HPプロフィルに、「(慰安婦問題について)国際社会に向けて日本の汚名を晴らすため、東奔西走中」と記すなど、歴史問題や「慰安婦」問題についてはかなり自由に発言していた。今と違い、自由なお立場だったのだろう。また2014年にはアパグループが主催する「真の近現代史観」の懸賞論文で最優秀藤誠志賞を受賞している。受賞作のタイトルは「慰安婦問題とその根底にある報道の異常性」だ。「日本は南京大虐殺や従軍慰安婦問題で、毅然とした態度がいまだ取れずにいます」ということを忌々しい口調で記し、朝日新聞に対する批判を堂々と記したこの論文で賞を取ったとき、杉田氏は衆議院議員であり、次世代の党の国対副委員長だった。そう、杉田氏は国会議員として、一貫して堂々と、河野談話に真っ向から挑戦する立場で、「慰安婦」問題などなかった、韓国はうそつき、という激しさで言論活動を繰り広げてきた。
私は2012年ごろから、「慰安婦」はうそつき!と街中で叫ぶ「愛国女性」たちを取材してきた。杉田氏は、そんな「愛国女性」たちの象徴的存在でもあった。「愛国女性」たちは口を揃えて「女性として『慰安婦』問題を終わらせる」と意欲を見せていたが、杉田氏自身も、女性が「慰安婦」問題に関わることの意義を再三口にしてきている。日本を批判するのは反日、過去を振り返るのは自虐史観、韓国や中国の言い分など聞く必要はない、「慰安婦」なんていなかった……そんなことを堂々と口にすればするほど、杉田氏は有名になり、信頼され、評価されていったのを私は取材の過程で目の当たりにしてきた。実際、そんな杉田氏を熱烈に評価し、自民党公認に推したのが安倍晋三氏だった。大抜擢だったはずだ。野田聖子氏のように強い地盤があるわけでもない。小渕優子氏のように三世としての人脈もない。女が政治家になるために必要な太い人脈や血縁も何もないなかで、杉田氏は「慰安婦」問題で過激になることで、日本最強の太い人脈を得たのだ。