そのマクガフには、日本で特に感謝している人物が3人いるという。「まずはオガワ(小川淳司)さん、今のGMだね。日本に来て初めての監督だったんだけど、彼の下でプレーするのはすごく楽しかった。それからタカツ(高津)さん。過去3年間、監督というだけでなく、僕ら家族にとっての良き友人でもあった。彼の家族も僕らが快適に過ごせるように何でもしてくれたし、日本の文化についても教えてくれたんだよ」。そして、もう1人──。
「“我が友”イシイ(石井弘寿)コーチさ。良い時も悪い時も常に一緒にいてくれて、投手として手助けしてもらったことは本当にたくさんある。(2020年に)娘が生まれた日、僕は日本にいて立ち会うことができなかったんだけど、その時もそばにいてくれたし、(米国代表で出場した)五輪前にはキャッチボールの相手もしてもらった。(優勝旅行先の)ハワイで、チームのみんなとリーグ優勝を祝った最後の夜も一緒だったんだ」
首脳陣だけではない。マクガフは外国人、日本人、あるいは投手、野手を問わず、チームメイトとも積極的にコミュニケーションを図った。コロナ禍前には共に食事に出かけ、カラオケでマイクを握ってジョン・デンバーの『カントリー・ロード』を披露したこともあるという。
昨年は「(来日)1年目から仲良くなって、言葉を教え合う間柄だった」という雄平(現楽天打撃コーチ)が現役引退を発表すると、その日の登板では自身の出囃子の代わりに彼の登場曲であるMr.Childrenの『終わりなき旅』でマウンドに上がった。かつて「温厚っていうか、優しいなっていうのが一番ですね。ナイスガイで優しい」とマクガフを評したのは正捕手の中村悠平だが、普段は笑顔を絶やさず仲間思いの彼を、ナインも愛した。
それはファンも同じだろう。マクガフのヤクルト退団が決まると、SNS上には惜別の声が多く寄せられた。そんなファンに対する、彼の“ラストメッセージ”を聞いた。