当時の彼はセ・パ交流戦中から続いていた自責点ゼロの登板が21試合で途切れ、そこから3試合連続で失点したばかり。それまで「落ちる球」として投げていたスプリットは「ストレートとの球速差があまりないから、打者のタイミングを外せなくなってきた」と、より速度が遅く落差の大きなフォークへのモデルチェンジに取り組んでいたのである。

 150キロを超えるストレートにそのフォークボール、さらにカットボールなどを交える投球スタイルで、マクガフは4年もの間、一度も戦列を離れることなくフル回転した。昨年はリーグ2位タイの66試合に投げて3勝2敗、14ホールド、31セーブ、防御率2.52の好成績でチームをリーグ優勝に導くと、オリックスとの日本シリーズでも全6戦中5試合でマウンドに上がった。

 このシリーズでは第1戦で2点のリードをひっくり返され、第5戦でも9回に決勝ホームランを浴びてしまうのだが、守護神に寄せる高津臣吾監督の信頼は変わらなかった。3勝2敗で迎えた第6戦、厳寒のほっともっとフィールド神戸で同点の10回途中から登板すると、2回1/3を死球1つに抑える熱投でチームに20年ぶりの日本一をもたらした。この試合こそが、彼にとっての日本での「ベストゲーム」だという。

「間違いなく2021年の日本シリーズで勝ったあの試合(第6戦)だよ。素晴らしい監督が率いた素晴らしいチームと、その努力の集大成。それがあの試合だったのさ」

 今年はシーズンを通して守護神を務め、球団歴代2位の38セーブでリーグ連覇に貢献。オリックスとの再戦となった日本シリーズでは第5戦で逆転サヨナラ負けを喫するなど、球団史上初の2年連続日本一はならなかったものの、それでも2年続けてこの大舞台に立てたことは忘れられないと語る。

「日本シリーズはやっぱり特別な舞台。(来日して)最初の2年はテレビ中継やハイライトで見ることしかできなかったんだ。その舞台に2年連続で上がって、1度は勝てた(日本一になった)のはすごいことだよ」

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