2023年は、ゲーム機「ファミリーコンピューター」が発売されて40周年となる。任天堂が生んだ世界に誇るファミコンだが、1983年の発売を前後して、家庭用ゲーム機にはさまざまな戦いが勃発していた。数字で振り返るファミコン史の後編をお届けする。
【写真】知る人ぞ知る? ファミコンを使った「ホームバンキング」
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1983年に登場した家庭用ゲーム機はAtari 2800やファミコンだけではない。まず3月にはバンダイから「アルカディア」が発売されている。そしてファミコン発売日と同じ7月15日に、セガが初の家庭用ゲーム機「SG-1000」を発売している。任天堂とセガの18年にわたる“ゲーム機戦争”は、ファミコン発売日から幕を開けたといっても過言ではないだろう。
同じく7月には、トミーより「ぴゅう太Jr.」が、続けて10月には学研から「TVボーイ」、11月にはツクダオリジナルから「オセロマルチビジョン」と、続々と家庭用ゲーム機が登場する。ちなみに、オセロマルチビジョンはセガのSG-1000のソフトとも互換性があった。
つまり、1983年は多数の家庭用ゲーム機が登場した年で、ファミコンに限らずこれらのゲーム機も2023年に40周年を迎える。まさにゲーム史に残る激動の年だったのだ。
「マリオブラザーズ」で一躍世界に
これらのゲームハード戦国時代を制したのは言うまでもなくファミコンだが、ファミコンの販売台数の推移を見ると、真にファミコンのブームが始まるのは1985年以降であることをご存じだろうか。84年度の販売台数が165万台に対し、実に85年度は倍以上になる374万台を出荷しているのだ。
その要因は、85年9月13日に発売された、「スーパーマリオブラザーズ」だ。アクションゲームを代表する作品で、ファミコンならびに家庭用ゲーム機を代表するタイトルとも言える。国内の売り上げだけで約681万本、全世界で約4024万本というメガヒットとなった。