――金塊など総額4億円相当以上と額が大きいですが、いつごろからどんな経緯で保管していたのでしょう?
「金・プラチナ・銀貨は17年に購入しました。当時、広告ビジネスなど複数の会社を経営していたので、それでもうけた稼ぎを金庫に保管していました。当時は暗号資産の投機でもかなり収益があったのですが、その一部を不正アクセスなどで奪われないように、インターネットに接続しない『コールドウォレット』であるUSBに保管していました。ビットコインなども高値だったので5億円相当ぐらいありましたが、最近の相場で2億円相当まで目減りしていました。日本円は紙くずになるリスクがあるので、資産保全のために金塊に換えていました」
――実家に資産を保管していることをだれかに話した覚えはありますか。
「最近、私は暗号資産コインのプロジェクトに関わっていました。このコインは上場に失敗し、価格も暴落して損害を出してしまい、遺憾に思います。その後、約1億円の投資を集めてくれたインフルエンサーの女性らから、SNS上で『詐欺師』などと呼ばれて誹謗(ひぼう)中傷を受けるようになりました。事業が失敗したことで彼女に投資してくれた人に損害が出て、その矛先が私に向けられたんだと思います」
A氏はそう話し、複数のツイートを見せてくれた。
「機関銃で乱射してます。ドバイ詐欺師側の席に座ってる人たち流れ弾が頬をかすめるかもしれません」
「日本の金庫に金塊がたくさん コールドウォレットにまだ仮想通貨あるらしい」
昨年12月、A氏を念頭に置いて相次いで投稿されたツイートの一部だという。
この点についても尋ねた。
――ツイートなどを見て、用心はしなかったのでしょうか?
「そのうち前妻や子どもの写真、実家の住所、マンションの部屋番号まで書かれるようになりました。それで身の危険を感じて、事件が起きる3日前に私が警察署に行って相談したんです」