鄧小平から指名され、「改革開放」の路線を受け継いだ江沢民、胡錦濤の時代はあくまで鄧小平時代の延長線上にあった。鄧小平時代の改革開放、集団指導体制、指導者の任期制をすべて習近平は今回の党大会で終焉させたが、それまでに10年の時を費やしたのである。これだけ苦労して築いたストロングマンの立場を、5年で手放すわけはなく、健康が許す限り、最低でも10年はトップの地位にとどまろうとするだろう。

 その意味で、2023年は「真の習近平時代」の1年目となる。極限まで自分に集中させた権力を習近平はいかに使うのか。14億人をまとめ上げる帝王学を、習近平氏は持っているのか。まずはお手並み拝見といきたいところだが、ウクライナ戦争にあえぐ世界にはもはやその余裕はないかもしれない。中国は今後ますます我々と相容れない存在になるか、再び近づくことができるのか、この一年で答えが見えるはずである。

(一部敬称略)

●野嶋剛(のじま・つよし)

ジャーナリスト、作家、大東文化大学社会学部教授。1968年生まれ。上智大学文学部新聞学科卒。朝日新聞社入社後、シンガポール支局長、政治部、台北支局長、国際編集部次長、AERA編集部などを経て、2016年に退社。中国、台湾、香港、東南アジアの問題を中心に執筆活動を行っており、著書の多くが中国、台湾で翻訳出版されている。最新刊は『新中国論 台湾・香港と習近平体制』(平凡社新書)。

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