ダウンタウンの浜田雅功
ダウンタウンの浜田雅功

 少し前まで、大晦日のテレビの風物詩と言えば、『NHK紅白歌合戦』と日本テレビの『笑ってはいけない』シリーズが二大巨頭だった。後者は2020年まで放送されており、圧倒的な支持を得ていた。そこでメインを張るダウンタウンの2人は、年末のテレビの顔として長く君臨してきた。

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 今年還暦を迎える彼らだが、その人気は衰える気配がない。コンビとしてもそれぞれ単独でも数々のレギュラー番組を持っている。特に、浜田雅功はコンビでも単独でもMCを任されることが多く、この年末年始だけでも『お笑いアカデミー賞』『芸能人格付けチェック! 2023お正月スペシャル』などで司会を務めた。

 そんな浜田が出演した1本の年始特番が話題になっていた。1月2日放送の『浜田、大吉、濱家主催! 新春ツッコミ芸人総会2023』(読売テレビ、日本テレビ系)である。浜田のもとに博多華丸・大吉の博多大吉、かまいたちの濱家隆一など、お笑いコンビのツッコミを担当する芸人だけが集まり、「ツッコミ」というテーマについてじっくり語り合うトーク番組である。

 和服に身を包んだツッコミ芸人たちが宴会場に集まっていて、雰囲気は新年会という感じだが、そこで語られるツッコミ論やお笑い論はなかなかディープな内容だった。

 特に世間で注目されたのは、浜田の口からツッコミの技術論のような話が語られたことだ。浜田がテレビでお笑いの話を真正面から語ること自体が珍しいため、共演する芸人たちも聞きながら目を輝かせていたし、それを新鮮に感じた視聴者も多かったようだ。大吉から今の後輩芸人のツッコミを見てどう思うのかとたずねられて、浜田はこう答えた。

「いや、みんな上手いですって。別にあかんとかは全然、全くないですよ。ただ、あっ、ワンテンポ遅い、とか。ここ、語尾聞かんでも行け、とか。そんなんは見たときにはちょっと感じますよね。(中略)やり方がどうこうじゃなしに、タイミングとか間だけは見てしまうよね、単純に」

 他人のツッコミを見て、言葉選びのセンスなどではなく「間」が気になるのは、浜田自身が誰よりもそこにこだわっているからだろう。ビジネス書のタイトル風に言うなら「ツッコミは間が9割」ということだ。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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浜田はひと言「なんでやねん」と極力シンプル