日本の街は美しく、人は温かい。ここでなら、心に負った傷を癒やして故郷に戻るエネルギーを蓄えられそうです。私を含め、世界中に散らばったウクライナ人たちは、皆祖国に戻りたがっていると思います。私たちの愛国心は、今までにないほど高まっています。

 ドネツクに残っている人々も同様です。私の印象では、おおむね55歳以上の人たちは、土地に愛着があったり、新天地で仕事を見つけられなかったりといった理由で、昨年の全面侵攻以後も東部にとどまっています。けれども、今はロシア軍の攻撃に怯えているようです。14年にはロシアの肩を持つようなことを言っていた両親も、いまだやまないミサイルの雨に、今は恐怖を口にしています。遠く離れた日本から、私は彼らの安全を祈るしかありません。

(構成/ライター・大井美紗子)

AERA 2023年2月27日号

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