放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、大相撲界に現れたニュースターについて。
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2023年の大相撲初場所が終わり、大関・貴景勝が優勝し、いよいよ横綱が近づいてきた。
そして、大相撲のもう一つの大きなニュースは宮城野部屋の力士・落合が幕下全勝優勝を果たし、一場所で十両になるという奇跡を成し遂げた。
相撲を普段見ない人のために説明すると、相撲は「序ノ口」「序二段」「三段目」「幕下」「十両」「幕内」と分けられている。
十両以上が「関取」と呼ばれるので、相撲界に入ったからには「十両」以上の関取になりたいと誰もが思うが、その壁はとてつもなく厚い。
通常の新人の力士は序ノ口から始まるのだが、学生横綱や社会人の優勝者などは「幕下付け出し」といって、飛び級してスタート出来るのだ。
落合は19歳。高校を卒業し、社会人で結果を出して「幕下付け出し 15枚目」デビューとなった。
プロの世界に入り、その厳しさを知り、思ったような結果を出せず、コツコツやっていく人が「普通」である。だが、落合はいきなり全勝。たった一場所で十両になってしまうという壮絶な記録を作る。
久々に相撲界に現れたニュースター。彼の登場で、相撲界はかなり盛り上がるかもしれない。
落合は「宮城野部屋」である。横綱・白鵬が宮城野親方になり、その弟子である。
千秋楽が終わり、宮城野親方から連絡があり、「うちの若手を紹介したいから」と言ってくれたので、会いに行くと、今回勝ち越した力士、4名がずらりと並んでいた。川副、雷鵬、大谷という力士に落合である。
みな若く、目がギラギラしている。落合の横に座り話してみると、ズ太い。自分に自信がある。迷いがない。このことを言うと「今からその厳しさを知っていくんですよ~」という人もいる。
だが、努力を努力と感じずに突っ走る人もいる。「天才」と言われる類の人である。クレバーだし、人生の目標がはっきりと「横綱」に向かっている。