心不全が疑われたら、血液検査、心電図検査に加えて、胸部X線検査・心臓超音波検査(心エコー)・心臓MRI(磁気共鳴断層撮影)などの画像診断、さらに6分間歩行テスト、心肺運動負荷試験(CPX)などがおこなわれます。
血液検査では、心不全状態になると上昇する「BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)」の値や、腎機能、肝機能などで心不全の状態を評価するとともに、糖尿病などのほかの病気の併発の有無も確認します。画像診断では、心臓の大きさ、形、動き、血液の流れ、弁の様子、肺に水がたまっていないかなどが調べられます。6分間歩行テスト、CPXなどでは、運動耐容能(どの程度の運動に耐えられるか)や、日常生活への影響の程度を調べて数値化します。
さらに必要に応じて、心臓カテーテル検査をおこないます。これは足の付け根の血管からカテーテルという細い管を入れて心臓まで通し、心臓内の圧力や、冠動脈という心臓に栄養を供給する血管の状態などを調べる検査です。心筋(心臓の筋肉)の組織を採取して異常を調べる「心筋生検」をおこなうこともあります。
これらの検査で原因となる病気を突き止め、さらに総合的に心臓の状態を評価し、心不全の重症度を判断します。
■薬物療法を中心に、原因となる病気の治療も
心不全の治療は、症状の改善と、心不全の悪化による入院を減らすことが目標になります。治療の柱は、薬物療法、原因となる病気の治療、生活習慣の改善の三つです。
薬物療法は、おもに次のような働きをもつ薬剤を、複数組み合わせて用います。効果と副作用をしっかり評価しながら、用量や飲み方を細かく調整をしていきます。医師の指示通りに忘れずに服薬することが大切です。
原因となる病気の治療として、次のような治療が薬物療法に並行して実施されます。
済生会熊本病院循環器内科部長の古山准二郎医師は次のように話します。
「心不全の治療は、『薬』『カテーテル治療』『デバイス植え込み治療』の三つを適切に組み合わせていくことが大切です。手術などの負担の大きい治療には耐えられない場合も多いですから、心臓の状態や全身状態に合わせて慎重に治療法を選択します」