それゆえ、もし「れいわローテーション」が成功すれば、世界でも珍しいケースとなる。

 これまで、れいわは比例代表の「特別枠」を使って3人の障害者を参院議員にした“成功例”がある。

「『特別枠』というのは自民党が選挙区事情でつくった救済策だったんですが、私たちはそれを使って船後靖彦さん、木村英子さん、天畠大輔さんという3人の参院議員を誕生させました。それにより国会にスロープがついたりと、障害や難病に配慮をするように変わりました。これは世界的にみても画期的なことです。制限された選挙制度の中で最大限の知恵を絞り、いかに自分たちの思いを訴えかけていくかを追求した結果だと思います。私たちは、選挙制度にも一石を投じたい。ローテーション制もやってみなければわかりません。参院選は非拘束名簿式になりましたが、はたしてそれがいい選挙制度なのかという問いかけにもなると思います」

山本代表は街頭演説などで、「党の経済政策は長谷川ういこさんが作っています」と繰り返し語ってきた。長谷川氏は、政府は財政規律にとらわれず、必要な財政出動を行って社会保障や公共サービスを充実させるべきだという「積極財政」を唱える。また、脱原発や脱炭素を進め、持続可能な経済に転換していく「グリーン・ニューディール」も提案し、れいわの公約となった。「れいわローテーション」が順調にいけば、長谷川氏は24年に国会議員となるが、その任期である1年間で何をするつもりなのか。

「1年という期間であっても、自分が主張してきた『積極財政』を国会でも訴えていきたいです。またグリーン・ニューディールもより強く伝えていきたいです。脱炭素は成長産業であり、世界の市場規模は500~600兆円になると言われています。今の日本は、エネルギーや食料を他国に頼っていますが、これらを自分の国でつくることもニューディールなんです。1年という準備期間をもらっているので、もっと研究を進めて、専門性を突き詰めていきたいと考えています。あとは家庭をどうするか。今は京都に住んでいるので、1年の間に、子どもの転校をどうするかなどを決めないといけないですね(笑)」

 はたして、日本で「れいわローテーション」は成功させられるのか。これからの5年間に注目が集まる。(AERA dot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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