この強さ、前代未聞です。観測史上最強のハリケーン「パトリシア」がメキシコに上陸しました。2013年台風30号「ハイエン」を上回る強さまで発達しており、壊滅的な被害をもたらす恐れがあります。

ハリケーン「パトリシア」 メキシコに上陸

ハリケーン「パトリシア」は現地時間23日18時過ぎ、メキシコのハリスコ州に上陸しました。上陸時の最大風速は70メートルほどと、メキシコの太平洋沿岸では観測されたことのない強さです。観測所から最後に届いたデータによると、最大瞬間風速95メートルほどの風が吹いたとみられます。
最大瞬間風速95メートルとは、竜巻で言うと、鉄骨の建物がぺしゃんこになったり、列車が吹き飛ばされたり、1トン以上の物体が降ってきたりするほどの強さ。現実とは思えない勢力です。
「パトリシア」はこのあと北東へ進み、24日にかけて低気圧に姿を変えながらメキシコを縦断する見込みです。

観測史上最強のハリケーン

「パトリシア」はメキシコ南部の西海岸沖で発生しました。メキシコ西海岸の沖合を北上し、中心気圧879ヘクトパスカル、最大風速90メートルまで発達。
世界気象機関(WMO)によると、北東太平洋と大西洋では観測されたことのない強さです。メキシコ政府は非常事態宣言を発令して最大級の警戒を呼び掛けています。
北西太平洋で最近最も発達した台風は2013年台風30号「ハイエン」の895ヘクトパスカル。「ハイエン」の時のような壊滅的な被害をもたらす恐れがあります。
●2013年台風30号「ハイエン」
中心気圧895ヘクトパスカル、最大風速65メートルまで発達し、フィリピン中部に勢力を維持したまま上陸。レイテ島などに暴風や高潮などによる深刻な被害をもたらしました。

温暖化により 強い台風も増える?

世界の平均気温は上昇を続けており、温暖化が進んでいるとみられます。
ある研究によると、温暖化が進むにつれて、地球全体での台風やハリケーンの数は減る一方、勢力の強いものが増えると予測されています。「パトリシア」の発達には温暖化が関係しているかもしれません。
将来、日本に「パトリシア」のような勢力の強い台風が襲来するかは定かではありません。しかし、その危険性は高まりつつあるのかもしれません。