「現在わかっているドライバー遺伝子は、EGFR、ALK、ROSI、BRAF、RET、MET、NTRK、KRASです。これらがオンコマインかAmoyDxの検査で一度に見つけられます。その見つかった遺伝子異常や変異などに対応した分子標的薬を使うことで、効く人に効く薬を届けられるようになりました」(樋田医師)

 その一部を挙げると、EGFRにはオシメルチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブなど、ALKにはクリゾチニブ、アレクチニブなど、ROS1ならエヌトレクチニブ、METならカプマチニブ……といった具合だ。ドライバー遺伝子が見つからなかった場合でも、免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、ニボルマブを中心に使っていく。

 ステージIIからIIIAの術後補助化学療法でも、免疫チェックポイント阻害薬が使えるようになった。「アテゾリズマブという薬で、術後に従来の抗がん薬を使った後に追加投与することで、再発または死亡リスクが低下することがわかっています」と樋田医師は言う。

 ステージIIIではシスプラチンという従来型の抗がん薬に放射線治療を組み合わせる化学放射線療法も治療の選択肢の一つになっている。ここでも、最近、治療法が大きく変わったという。化学放射線療法の後に「地固め療法」として免疫チェックポイント阻害薬のデュルバルマブを投与すると、再発を予防する上乗せ効果が得られたという。

 このほかにも、免疫チェックポイント阻害薬を用いた術前化学療法は日本ではまだ認められていないが、従来の抗がん薬とニボルマブを併用した臨床試験でよい成績が出ており、海外では使われ始めている。日本でも認可が待たれる治療法の一つといえる。

 残る課題は小細胞肺がんだが、進展型というタイプでは従来の抗がん剤+免疫チェックポイント阻害薬(アテゾリズマブかデュルバルマブ)の併用で生存期間が延び、標準治療の一つになっている。

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