ペットはもはや大事な家族。読者とペットの愛おしい日常のひとコマをお届けします。今回の主役は、猫のフクちゃんです。
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娘が中学3年のとき、雨が降る道端でか弱い声で鳴いていた子猫を連れ帰ったのが18年前。帰宅後の私が、頭でっかちで薄汚れた体に触れようとしたら、シャーと威嚇されたのを思い出す。
慣れてくると、その猫フク(雌、18歳)は家中を走り回り、所かまわず爪とぎをする、カーテンをよじ登りカーテンレールをへし折る……。猫は家を破壊する生き物だと思ったものだ。
しかし、私が一番困ったのは、1階のリビングで寝ているフクが、暗い夜明け前にドアのレバーにぶら下がってドアを開け、私が寝ている2階へ来ておなかが空いたとニャーニャー訴えること。
どうにか出られないようにしようと猫との知恵比べが始まった。
レバーにトイレットペーパーの芯を通してみたり、とげとげの猫除けグッズをぶら下げてみたり、色々試したがすべて突破された。おまけに何度もレバーにぶら下がるものだから、バネが伸びてロックされなくなる始末。
そんな時、ふとひらめいた。「レバーを垂直にすれば開けられないかも」。そのため、今わが家のリビングのドアレバーは垂直に立っている。
しばらくフクはじっとレバーを見上げて考えているようだった。これで駄目ならもう打つ手はない。何日かするとついにフクは諦(あきら)め、私は長かった知恵比べに勝ったのだった。この時は心底ほっとした。笑。
今ではフクもすっかりおばあちゃんになったが、隙をついてリビングから「脱走」することもある。この時は私も一緒に付いていく。そして2階を一巡すると安心したように1階に戻る。
フクはもう昔のドアレバー騒動のことなんかとっくに忘れたよね。(千葉市花見川区/69歳/無職)
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※週刊朝日 2023年3月3日号