投球フォームは十人十色だ。正解はなく、個々の特徴にあった独創的な投げ方がファンの心をつかむ。日米でリリーバーとして活躍した岡島秀樹は、リリースの瞬間に捕手を見ず、顔を下に向けて投げる独特の投球フォームだった。巨人時代に投手コーチだった鹿取義隆に個性的なフォームを尊重されたことで大輪の花を咲かせた。指導者との出会いも、才能を覚醒させる上で重要なポイントになるだろう。
今回は新聞、テレビ、ネットなどメディア関係者30人から「あなたが選ぶ最もカッコいい投球フォーム」を選んでもらった。江夏豊、山田久志、大野豊、松坂大輔、渡辺俊介などを推す声が上がる中、「二段投球フォームの時の岩隈久志」という意見が。民放テレビ関係者は、その理由をこう語る。
「2006年からNPBで二段モーションの規制が強化されたことで、岩隈、三浦大輔など二段モーションで投げていた投手たちはフォーム改造を余儀なくされた。近鉄時代の岩隈は二段だったのですが、その投球フォームは『美しい』の一言でしたね。年々体格がたくましくなっていくのですが、当時はマッチ棒のように華奢で。身長190センチのフォームから、右腕を脱力して二段でタメを作って140キロ後半の快速球、縦のスライダー、打者のタイミングを外すスローカーブを投げていた。フォーム改造後も楽天のエースとして活躍し、メジャーでも結果を残したので名投手なのですが、もし二段モーションのままだったらどんな投手になっていたんだろうと想像してしまいますね」
ソフトバンクのエースとして活躍した斉藤和巳と現役のメジャーリーガー・ダルビッシュ有(パドレス)も3票入った。斉藤には「魂を感じる投球フォーム。投げた試合は最後まで勝つという強い意志を感じた」、ダルビッシュには「多彩な変化球を操るけど、投球フォームが全く変わらない。ピンチで抑えた後に雄叫びをあげるまでの動作がかっこいい」などのコメントが。