大宮エリーさん(右)と宮田裕章さん(撮影/写真映像部・高橋奈緒)

大宮:なるほど。

宮田:実はその当時から医学領域はお金だけでない価値をデータで可視化していました。

大宮:へえ。

宮田:例えば命であったり、生活の質(クオリティー・オブ・ライフ)だったり。最近ではウェルビーイングという文脈で広まっていますね。

大宮:ウェルビーイングって、最近すごく聞きますよね。でもすごく難しい。定義が。だけど「うわー忙しい」と毎日を送っている人も病気を抱えている人もウェルビーイングであってほしい。

宮田:今の日本では、健康寿命は、例えば治る見込みのない認知症になったら終わり、という定義です。でもウェルビーイングの場合、そうじゃない。治る見込みがなかったとしても、その人らしく生きていくことをどう支えればいいのか考えるのです。だから「ウェルビーイング寿命」という、新しい定義を作ればいいわけなんです。その人が手芸や散歩を好きであれば、それを大事にする。

大宮:それをデータ化してサポートするわけですよね。

宮田:そうですね。今までは、あ・うんとか、ノンバーバルでやってきたサポートを可視化します。そうして、いろんなスタッフが、その人が大事にしているものを大事にできるような状況を作っていく。

大宮:なるほど、データって数字だけじゃないんですね。手芸だったり、散歩だったりもデータであると。

宮田:データを使って、人が大事にしているものに寄り添いたいと思っています。

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