天皇誕生日の一般参賀(撮影・写真映像部 東川哲也)
天皇誕生日の一般参賀(撮影・写真映像部 東川哲也)

 新年の一般参賀と違い、愛子さまや他の皇族女性がモンタントに帽子をお召しだった。帽子はお出かけする場合に身に着けるもので、行事の主催者側はつけない。今回は、お祝いを受ける天皇陛下の妻である雅子さま以外は、帽子をお召しだった。

 女性皇族がお召しの彩りのローブモンタントの美しさも、ロイヤルならではの光景である。実は、日中の正装であるローブモンタントは、ハリ感のある布地で仕立ててある。愛子さまや紀子さま佳子さまのモンタントのように、京都の絹織物の生地を用いて仕立てられるのが一般的だ。

 対して雅子さまのロイヤルブルーのモンタントは、ベルベットのような柔らかい生地による仕立てだ。

天皇誕生日の一般参賀(撮影・写真映像部 東川哲也)
天皇誕生日の一般参賀(撮影・写真映像部 東川哲也)

 雅子さまは昔の衣装をお召しのことも多いが、こちらは令和に入って新調されたドレス。 ここ数年の天皇誕生日や「講書始の儀」などの行事で複数回召しだった。胸元と袖口、帽子にビーズで刺繍の入った豪華な装いだ。ロイヤルブルーのドレスは、愛子さまのピンクとの対比が美しかった。

「美しいロイヤルブルーのモンタントは、雅子さまにとって着心地のよいお召し物であると拝察します」(事情を知る人物)

 同じドレスを大きな行事でお召しなのは、ご負担の軽減を考慮した側面もあると見られる。

 天皇陛下はもちろん、陛下を支える皇后もまた重責を担う立場だ。実際、天皇をはじめ皇族方の務めは過酷だ。この日の宮殿での祝賀行事でも三権の長や各国の駐日大使らの祝賀を受ける厳粛な儀式のなか、天皇陛下や皇后さま、皇族方は長時間にわたり立ちっぱなしである。

天皇陛下がお誕生日を前にした会見で、雅子さまについて、「大切な存在であるとともに、公私にわたり良き相談相手」と語る一方で、「いまだに快復の途上で、体調には波があり、大きな行事の後や行事が続いた場合には、疲れがしばらく残ることもあります」と体調を慮かっている。

 歴代皇后が現地の気候や状況、自身の体調を鑑みて衣装を選ぶのは珍しいことではない。

天皇誕生日の一般参賀(撮影・写真映像部 東川哲也)
天皇誕生日の一般参賀(撮影・写真映像部 東川哲也)

 陛下は、前述の誕生日会見で雅子さまの体調について説明したうえでこう気遣った。

「十分な休養を取ってほしいと思います。これからも、無理をせずにできることを一つ一つ着実に積み重ねていってほしいと思います」

(AERA dot.編集部・永井貴子)