最後に手紙を書いたのはいつだっただろうか。メール全盛のいま、思い出せないくらい長い間、手紙を書いていないという人も多いのではないか。でもだからこそ、受け取った手紙のことはよく覚えている、ということもあるだろう。
『【増補改訂版】気持ちがきちんと伝わる! 手紙の文例・マナー新事典』には、「いい手紙を書くための秘訣は、その手紙を書きたいと思うこと」とある一方で、「手紙には伝統的な構成様式や特殊な用語があり、それを知らないと、ノーネクタイで大切な人に会うような失礼をおかすことにもなりかねない」とある。お祝いごとの多いこの季節。改めて、お祝いの手紙を書く際の基本のマナーとNGをまとめておきたい。
まず、肝に銘じておきたいのは、「お祝いの手紙はタイミングが命」だということだ。知らせを受けた直後に出すのが理想的。結婚や出産などの知らせを受けたら、できるだけ早めにお祝いの気持ちを伝えることだ。祝福の手紙をもらうのは誰にとってもうれしいものだが、特に喜びのさなかにいるときに受け取る手紙は、うれしさを倍増させる。
突然の祝いごとなら、親しい相手には前文を省いて「おめでとう」などと書き出すのもいい。「知らせを聞いてすぐに書いた」という印象を与えると、相手に強い祝意を伝える効果がある。予定のわかっている祝いごとの場合には、2、3週間前から当日までに手紙を出し、祝いごとが過ぎてからのお祝いにならないようにすること。
実際に書く際は、おめでたいできごとを「ともに喜んでいる」という姿勢で。相手をたたえ、自分のことのように喜び、祝いごとをもり立てるつもりで書く。もちろん、相手との関係をふまえて書くことも重要だ。夫の上司などに出すフォーマルなお祝いの手紙は、冒頭に時候の挨拶を入れ、形式にのっとった書き方に従うのが基本であることは言うまでもない。
友人や同僚に出すカジュアルな手紙なら、あまり形式にとらわれず自分の言葉で素直に表現したい。相手の両親宛てに出す場合は、ねぎらいの言葉も忘れずに。入学や合格祝いなどを本人宛てに出すなら、これまでの努力をたたえてあげよう。身内や親しい人に出す場合なら、使い慣れない美辞麗句を並べる必要もない。率直にお祝いの言葉を述べ、喜びを伝えればいい。気分が高まっている相手には、多少大げさにお祝いしたほうが気持ちが伝わりやすい。入学・卒業祝いなど予定のわかっている祝いごとの場合は、その日を待ち望むような少々はしゃいだ表現がしっくりくる。