放送作家の鈴木おさむさん
放送作家の鈴木おさむさん
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 放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、元SMAPメンバーでオートレーサーの森且行さんの生き方について。

【写真】2005年の森且行さんはこちら

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 2月19日の「情熱大陸」で、オートレーサーの森且行さんを取材して放送していた。

 1996年、突如としてSMAPを脱退した森さん。「オートレーサーになる」といきなりの転身。日本一になる!と言って、オートレーサー界に入ったが、正直、「無理だろう」と思っていたはず。だが、なんと、2020年に日本選手権で初優勝。まさに日本一になる。

 でも・・・。2021年でレース中の事故で大けが。もう復帰は無理だろうと誰もが思っていたのだが・・・。そこからリハビリを重ね、復帰に向かっていく森さんの姿を撮影していた。

 今でも覚えています。1996年でした。「SMAP×SMAP」が始まる数か月前に、代官山スタジオでスマスマのビジュアル撮影をしていた時。僕もそこにいました。

 撮影が終わると、なんだか大人たちがざわざわし始めて、いきなりそのスタジオの会議室にSMAP6人とマネジャーが入って、かなり長い時間会議をしていた。

 今思うと、あの時、森さんがメンバーに辞めるという意思を伝えた日だったんですね。

 春から始まる新番組のビジュアル撮影の日に辞めると言った森さん。たぶん、色んな罪悪感が膨らんでいき、その日に言うしかないと思ったんでしょう。

 僕はその事実を翌日知りました。「え? 本当に?」です。その時はオートレーサーになるということはまだ隠していて、「なんで、辞めるの?」と。これからアイドルとしては初となる時間帯に自分たちの番組が始まるのに。

 本当に辞めることが決まり、番組開始2か月で森さんは去っていきました。

 僕は森さんと3カ月ほどしか仕事をしてなくて、あまり会話をしていません。

 それから月日が流れ。2014年にSMAPがフジテレビの27時間テレビをやることになり、最後に森さんの手紙が読まれるということになった。僕は森さんと会うことが出来ました。そこで、辞めてからの思いやメンバーとの思い出を聞きました。

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体にボルトが24本でも引退考えず