ジェフ・ベックを取材した当時の誌面
ジェフ・ベックを取材した当時の誌面

 当時の写真にはフェンダー・プレシジョンベース、ギブソン・レスポール、フェンダー・ストラトキャスターにテレキャスターが並ぶ。

 いつの間にか遊びに来ていたのがコージー・パウエル。第2期ジェフ・ベック・グループのメンバーで、リッチー・ブラックモアズ・レインボーのドラマーである。「日本のジャーナリストが来るんだけど何を聞かれるのかわからない。来てくれないかって」とコージーが囁(ささや)いた。ミュージシャン人気投票企画の読者プレゼントに応募してくれたり(「住所:SUSSEX、氏名:JEFF BECK、34歳 MALE」と自ら書いて)、雑誌ロゴ入りのジャンパー姿を撮らせてくれたり、シャイでフレンドリーなスーパースターだった。「いつも新しい音楽を探していた。フュージョンをやったのもジェフだけです」(矢嶋さん)

「まるで自分の車を運転するように演奏する」とはジミー・ペイジだが、文字通りどこまでも新しい音楽の地平を求めたギタリストだった。

延江浩(のぶえ・ひろし)/1958年、東京都生まれ。慶大卒。TFM「村上RADIO」ゼネラルプロデューサー。小説現代新人賞、アジア太平洋放送連合賞ドキュメンタリー部門グランプリ、日本放送文化大賞グランプリ、ギャラクシー大賞など受賞。新刊「松本隆 言葉の教室」(マガジンハウス)が好評発売中

週刊朝日  2023年3月3日号

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