子どもたちは無事に保育園に通えている。長男のヤコブさんは、週に2回、1時間ほど日本にいるウクライナ人の先生から、オンラインでウクライナ語を習っているという。
夫はウクライナでジャーナリストの仕事をしている。夫を残してきた理由についてはこう語る。
「18~60歳の男性は国に残らなければいけません。それに夫はいろんな国の言葉が話せるし、ウクライナのために自分の能力を使ってもらいたいと考えているから、自分の考えで残っています」
オルガさん本人も仕事を得ようとハローワークに通ったが、なかなか仕事は見つからなかった。だが、オルガさんの語学力やコミュニケーション能力が認められ、昨年12月から鎌ケ谷市の職員として働けるようになった。その経緯を市の担当者はこう話す。
「最初は生活支援ということでオルガさん一家を受け入れました。ただ、なかなか希望に合う仕事が見つからず、オルガさんご本人から市で発信ができるような働き口がないかと相談がありました。彼女は英語も話せますし、ご自分が講師をされてウクライナの現状や習慣を市民に話したり、資料をつくる仕事を担ってもらえれば、活躍できる場があるのではないかと、市の内部で検討した結果、職員として採用することになりました」
出入国在留管理庁によると、身寄りのないウクライナ避難民には生活支援として、全国一律で生活費が国から支給されている。12歳以上は日額2400円、同じ家族で2人目(12歳以上)以降は1600円、11歳までは1人につき1200円が支給される。オルガさん家族は、本人が日額2400円、子ども2人の分で日額計2400円のサポートを受けている。
「支給金は国から出ている生活費なので、市の職員として報酬を得ても、それが削られることはありません」(鎌ケ谷市の担当者)
オルガさんにこれからの生活について聞くと、こう答えた。
「戦争が終わるのが今の一番の願いです。もうさらに1年は続いてほしくない。明日には終わってほしい。戦争が終わったら、ウクライナに戻って、ウクライナのために何かいいことをしたい。戦争が終わったとき、シングルマザーで身寄りのない人がどうするのか考えただけでつらい。彼女たちを助けるようなことがしたいです」