アニメ映像のクオリティーの高さも評判だ (c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
アニメ映像のクオリティーの高さも評判だ (c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
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「週刊少年ジャンプ」連載の人気漫画『鬼滅の刃』の勢いは、とどまるところを知らない。ヒットの要因としてアニメ化によるところが大きい。AERA2020年3月16日号は、「メガヒットの条件」を特集。アニメを制作したアニプレックスのプロデューサーに戦略を聞いた。

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 技術の進歩に合わせて、コンテンツの楽しみ方も多様化している。ヒット作をひもとくと、作品の出発点ともいうべき“源流”にとらわれず、各分野に複合的に派生していることがわかる。

 たとえば、女性中心に圧倒的な人気を誇る「あんさんぶるスターズ!!」。300万ダウンロード突破の人気アプリはアニメや2.5次元舞台へと立体展開。ファンの心を掴んでいる。アニメコラムニストの小新井涼(こあらいりょう)さん(30)は、メディア展開の変化を感じているという。

「昔は原作ありきでアニメ化、それが売れて映画化の流れが一般的でした。でも、今はスマホや配信の普及に伴い、作品のファーストウィンドーの選択肢も広がっています」

 ファンが新たな場所を生み出したケースもある。06年放送のアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」はエンディング曲のダンスが作品の知名度を押し上げた。視聴者らが自ら踊ったハルヒダンス動画をニコニコ動画などにこぞって投稿。「踊ってみた系動画」として爆発的に流行した。

「投稿できるプラットフォームができたのは大きい。最近はTikTokが主流になっているようです」(小新井さん)

今では一つ、二つのメディアミックスは当たり前。隙あらば次なる展開へと歩を進めるコンテンツが増えるなか、一線を画するのがネットフリックスだ。アニメジャーナリストの数土(すど)直志さんは、こう指摘する。

「アニメが映像だけではなく権利を回して稼ぐビジネスなのに対して、ネットフリックスはこれまで『オリジナル作品』のライツもライブ配信もやらないというポリシーが貫徹している。そのスタンスが今後どうなるのか興味深く見ています」

 配信先を増やすか、独占権をゆだねるか。メディアの選び方が作品の広がり方をも左右する。

 そんな時代に、独特の存在感を放つのは、吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)が描く漫画『鬼滅の刃』だ。

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