「コンビニ百里の道をゆく」は、50歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
【写真】人類初の月面着陸を実現したアポロ11号の打ち上げの瞬間
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韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が米アカデミー賞で作品賞や監督賞、脚本賞など4冠を獲得。ポン・ジュノ監督の来日も話題になりました。
韓国にある「半地下」をテーマに格差を可視化したことが、フィクションではあるけれどリアルだと世界中の人が惹き込まれているといいます。「ボヘミアン・ラプソディ」もそうでしたが、一つヒット作が出ると、映画界全体が盛り上がる。「パラサイト」もそんな作品になる気がします。
良い映画を観ると、いつの間にか作品の世界に入り込んで、気付けば2時間があっという間に過ぎていたということも多々ありますよね。最近、映画は機内で観ることも多いのですが、先日観た「アド・アストラ」もそんな一本でした。壮大なスペースファンタジーで、ブラッド・ピット演じる宇宙飛行士が父親を捜しに行く救出劇。映画の中の話なのに、もしかしたら生きている間に起こりそうな気がしてくるのです。
1969年にアポロ11号が与えた衝撃はすさまじく、世界中が注目しました。一方で、月面着陸した当時はまだ宇宙は遠い存在だったのでは。SFは夢の世界で、起こりえないことだから面白いものだとも思っていました。
デジタルやAIが大きく進化している今、紅白歌合戦ではAIで美空ひばりさんを再現し、AIが手塚治虫作品を学習して描いた“新作”も登場している。どちらも実現するなんて、少し前までは夢のまた夢だったのではないでしょうか。
第4次産業革命と言われるなかで、想像を絶するスピードで世の中が変わってきている。たとえば、レジのない買い物も当たり前になるかもしれない。5Gもすぐそこにある。近い将来、週末に月へ行く……なんてこともあり得るのではないか。映画を観ていて、そんなことを考えました。
※AERA 2020年3月16日号