山崎さんは普段、等身大で実践的なヴィーガン生活のヒントをYouTubeで発信している。高校卒業後、カナダの大学で栄養学を学んだ。食べ物を作るのも食べるのも大好き。もっと食べ物のことが知りたくて栄養学を専攻したが、自分が口にするものが環境に悪影響を与えていることを知って衝撃を受けた。温室効果ガス排出量の多くが畜産業に起因していること、北米では酪農業が水質汚染の大きな要因であること。動物性食品を食べなくても必要な栄養素が摂取できることも学んだ。
「いろんな事実を知って、私がそれでもまだ動物性のものを食べ続ける理由は『私がその味が好きだから』しか見当たらなかった。そんな自分中心の理由で動物を搾取し続けることに疑問を感じてしまいました」
イベントに参加していた大塚拓海さん(20)は、明治大学の2年生。ヴィーガンをテーマにした事業で、大学の仲間とビジネスコンテストに取り組んでいる。ヴィーガンをテーマにしたのは、たまたま周囲の人からヴィーガンの悩みを聞いたから。自分も試してみようと、できる範囲でヴィーガン食を取り入れ始めたのが去年の夏。家族や友人には、ヴィーガンのことを積極的に触れ回らない。友人と行った外食先でメニューに肉と魚しかなかったら、環境負荷の少ない魚を選ぶ。家で母親が作る料理に肉が入っていても、残さず食べる。
「達成できるかどうかはあまり問題じゃないんです。自分が食べるものについて考えて、選ぶということが楽しい。一食一食に意味を持たせられるし、それで世界にちょっと影響を及ぼすことができると思うから」
イベントに来ている若者の多くは、100%の完璧なヴィーガンを目指していなかった。彼らは、フレキシタリアン、パートタイムヴィーガンなどと呼ばれる。「人間関係を壊さないように、会社の飲み会ではお肉も食べる」「厳格にしすぎてストレスにはしたくない」と、なんとも合理的なのが、いかにも新世代のヴィーガンだ。